公開日 2020年12月07日
契約不適合責任とは、売買契約で、商品に品質不良などの不備があった場合に
売主が買主に負う責任のことです。売買契約の他請負契約でも
同等の責任が明文化されました、今回は請負契約です。
今回は請負契約の契約不適合責任がどのように変わるのか考えてみました。
修補請求権に関する改正
旧民法634条1項は、すべて削除されました。
新規定の内容としては、「瑕疵」の文言が「契約の内容に適合しない」に変更された以外には大きな変更はありません
先日書いた売買と同じく 不適合の解釈は、実務に委ねられてます
もともとうけお請負の場合は契約時に注文者が、実務へのへの影響は限定的と考えられます。
一方、改正民法においては、改正に携わった方の見解では注文者は請負人に対して修補を求めることはできず、契約の解除や損害賠償請求により解決されることになるようです。
解除に関する改正
請負契約の解除に際しては、改正民法の契約一般の規定に従うことになり、
具体的には、無催告解除をする場合には、契約目的を達成することができないことを要します(改正民法542条1項3号~5号)
また、催告解除をする場合には、履行を追完する旨の催告をしたうえで、催告から相当期間経過時において、契約内容との不適合の程度が軽微でないことを要します(改正民法541条)。
期間制限に関する改正
旧民法637条は、目的物の引渡し時または仕事の終了時から1年以内に解除しなければならないと定められていました。
改正民法637条1項においては、注文者は、契約不適合を「知った時」から1年以内に通知をしなければ、履行追完請求、報酬減額請求、損害賠償請求および契約解除をすることができないと定められました。
ただこれでは連絡しただけで解除可能となるので請負人には不利です
そこで、立法担当者の見解によると、この場合における通知は、単に契約との不適合がある旨を抽象的に伝えるのみでは足りず、
細目にわたるまでの必要はないものの、不適合の内容を把握可能な程度に不適合の種類および範囲を伝える必要があると解されています。
また、そもそも本規定のような期間制限は、履行を完了したとの請負人の期待を保護するための規定であることから、目的物の引渡し時または仕事の終了時において、請負人が契約不適合を知り、または重過失により知らなかった場合には、上記の期間制限は適用されません(改正民法637条2項)。
さらに旧民法638条は、建物その他の土地の工作物の請負人が負う担保責任については、一般的に引渡しから長期間経過後に瑕疵が発見されることが多いと考えられたことから、引渡しから5年(コンクリート造等の場合は10年)を存続期間として定めていました。しかし、上記のとおり、改正民法においては、注文者が契約不適合を「知った時」以降に期間制限が起算されたことにより規定の意義が薄れたため、改正民法においては削除されました。
今回の民法改正にあわせて、建設業法によって実施が勧告されている建設工事標準請負契約約款 5 についても、契約不適合責任の担保期間の改正がなされています。
具体的には、従前は木造建物については引渡し後1年、コンクリート造建物については引渡し後2年を期間制限として定めていた点について、
改正民法では木造・コンクリート造であるかにかかわらず担保期間が統一されたことから、
工事目的物については原則として引渡し後2年
設備機器等については引渡し後1年へと変更されました。
なお、住宅等の瑕疵に関する期間制限に関しては、住宅の品質確保の促進等に関する法律における定めが別途適用されることに注意が必要です。
請負契約の契約不適合については 条文の文言は変わったものの民法自体の解釈は変わってない部分が多く
その分特別法への注意が必要ですね