公開日 2020年12月06日
JLLは2日、「年末オンライン記者説明会」を開催。同社リサーチ事業部ディレクター・大東雄人氏が、
グローバルから見た日本の不動産マーケットについて説明した。
都心5区Aグレードオフィスの2020年第3四半期の月額賃料(共益費込み)の水準は坪当たり3万9,510円と、
前四半期比1.3%減、前年比0.1%減の下落。9月末時点の空室率は0.7%で前四半期比変動なしというデータを踏まえ、
「緊急事態宣言が発令された4月頃は、その後半年ほどで解約通知が積み上がり、年末には空室率が大幅に上昇すると懸念していたが、
現段階ではそうした動きは見られていない。今後、賃料は下落傾向、空室率は上昇傾向が見込まれるが、
21・22年は新規供給が少ないこともあり、そうした動きは緩やかに進行すると考えられる」などと話した。
売買については、商業用不動産への投資額に関する世界の都市別ランキングにおいて、20年1~9月期に東京がトップとなった点、
そして日本の不動産市場への投資額における海外投資家による投資の比率が、20年第1四半期~第3四半期は38%(19年は21%)に上昇した点に触れ、
「新型コロナウイルス感染症が世界で蔓延する中、日本の不動産マーケットは同感染症の影響が比較的軽微で利回りも高く、
安定していることなどから注目度が高い」(同氏)と分析した。
投資セクター別で見ると、これまではオフィスが4割程度を占めていたが、物流施設、住宅の割合が上昇している点を指摘。
「住宅や物流施設はコロナ禍でも安定稼働しているため、人気のセクターとなったと見ている」(同氏)との認識を示した。
今後、さらに投資資金を集めるため重要となるのは「不動産透明度」と指摘。「世界的に注目が集まっている物流施設やデータセンターなど、
オルタナティブアセットについてもデータの充実を図ることが、不動産透明度の向上につながる」と述べた。