公開日 2021年02月07日
住み替え(買い替え)にかかる税金は控除特例でお得に節税!
春一番が吹き 新居の購入と自宅の売却のシーズンも近づいてまいりました。
もっとも、それぞれに税金がかかります。決して安くはない金額を払って住み替えるのに、さらに納税となると家計に大きなダメージを与えてしまいますよね。
しかし、住み替え時の税金は控除や特例を適用させることで、負担を減らすことが可能。本記事では、住み替え時に必要な税金と控除制度に関する、以下の3つの疑問について解説いたします。
住み替え(買い替え)時に必要な税金
まずは、住み替え(買い替え)時に必要となる税金からみていきましょう。
税金名 | 概要 | 納税時 |
---|---|---|
印紙税 | 売買や住宅ローン契約書を交わすときに必要です 金額は契約金額によって異なります |
売却時・購入時 |
登録免許税 | 所有権移転登記や抵当権設定する時に法務局に納めます | 売却時・購入時 |
不動産取得税 | 家や土地を購入した後に税務署に納税します | 購入時 |
譲渡所得税 | 売却して利益を得た分にかかる所得税と住民税です | 売却時 |
これらの税金は、住宅の価格によって変動します。
中でも「譲渡所得税」ですが、こちらは不動産売却で必ずかかる税金ではありません。不動産を売却したことで利益を得た場合、その利益に対し譲渡所得税が課税されます。
譲渡所得は、「譲渡価額(売却額)-取得費-譲渡費用」の計算式で算出できます。
たとえば、売却した金額が4,500万円で、売却した不動産を取得した際の購入費などが4,000万円、売却にかかる諸費用(仲介手数料や印紙代など)が500万円以下だった場合、その差額が利益となり税金がかかってきます。利益に対する税率は40%近くになることもありますから、譲渡所得税は非常に高額な税金です。
ただこの譲渡所得税は、自身が住んでいたマイホームの売却に対して大幅な減税制度が設けられています。
住み替えに適用となる税金の控除制度
住み替え時には、税金控除や特例という「税金を安くする制度」が利用できます。
売却時に利用できる4つの特例制度
上記の表でも紹介しましたが、家を売却して利益が出ると譲渡取得税が必要です。譲渡取得税は、一定の条件を満たすと税金が安くなる特例が受けられます。
1.マイホームを売却すると3,000万円まで非課税になる
マイホームを売ると、譲渡所得から最高で3,000万円まで控除されます。以前に住んでいた居住用建物でも、その年の12月31日までに3年を経過していないときは適用可能です。
2.所有期間が10年を超えると軽減税率の特例が受けられる
マイホームに10年以上居住していれば、軽減税率が適用となります。軽減税率とは通常の税率よりも低くなる特例です。
売却した年の1月1日時点で、マイホームの居住期間が10年を超えている必要があります。
3.居住用財産の買い換え特例
居住用の土地や建物を売り、売却金で買い替えた場合、課税が繰り延べされます。
「売却価格<購入金額」の場合には、所得税はかかりません。反対に「売却価格>購入金額」のときは、将来買い替え先を売却するときまで課税が繰り延べられることになります。
なお買い替え特例は、3000万円控除と軽減税率の特例とは併用できません。
4.マイホームの売却で損失が出た時の特例(損益通算の特例)
マイホームの売却金が新居購入費用よりも低かった場合、損失分を他の所得から控除できます。控除しきれなかった損失は、売却後3年内に渡って繰り越し控除が可能です。
買い替え時に利用できる住宅ローン控除
住宅ローン控除は、住宅ローンを借入れて新居を購入するときに、給料などの所得税を控除してくれる制度です。控除期間は10年間で、ローンの年末残高の1%が控除されます。(消費税増税に伴い一定期間に限り期間延長)
最大400万円が控除(長期優良住宅等は最大500万円)されますから、節税効果が非常に高い制度だといえます。
この住宅ローン控除が適用となる条件は、以下の通りです。
住宅ローン控除が適用条件 |
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住宅ローン減税が適用となるのは、上記の条件を満たした場合のみです。賃貸住宅は対象となりませんので、注意しましょう。
住宅ローン控除と併用できる税金の控除制度
住宅ローン控除は適用となれば、新居購入時に大きく役立つ制度です。
ただし、住み替え時の控除特例には併用不可のものもあります。どの制度を使うのが一番の節税になるか判断するため、制度の適用要件とともに併用できるものとできないものについてもしっかり把握しておきましょう。
住宅ローン控除と併用できない制度
家を売却したときに適用となる控除制度のうち、以下の3つの特例と住宅ローンは併用できません。
- マイホームを売却したときの3,000万円の控除
- 所有期間が10年を超えると軽減税率の特例
- 居住用財産の買い換え特例
上記3つの特例も、適用となれば納税負担を大幅に減らすことが可能です。場合によっては、住宅ローン減税と同じくらいの節税効果があることもあるでしょう。
上記の特例制度と住宅ローン減税のどちらを適用させた方がいいのか、ご自身のケースをよく見直してみましょう。
住宅ローン控除と併用できる制度
住宅ローン控除と併用できる制度は、以下の特例です。
- マイホームの売却で損失が出た時の特例(損益通算の特例)
「買い替えたけど安くしか売れなかった」
「マイホームを売ったけど赤字になってしまった」
住み替え時は、このような譲渡損失を出してしまうことよくあります。買い替え時に損失が出ている場合、適用要件さえ満たせば、損益通算の特例と住宅ローン控除を併用するのが最も節税効果が高いといえます。
しかし、この損失が出た時の特例と住宅ローン控除を併用するときは、注意点があります。それは、「損益通算によって所得税がゼロになった年は、住宅ローン控除も使えない」ということです。
この場合、住宅ローン控除は損益通算及び繰越控除がなくなった年から利用できます。
控除制度はいくつかありますが、条件を満たせばすべての特例が適用となるわけではありません。
どの控除特例が一番お得か
住宅ローンの適用要件を満たす物件はどれなのか
確定申告の方法
などなど
自身のケースに当てはめ「どの制度を利用すれば得するのか」を見極めていく必要がありますね