住宅を購入・売却した人は特に 2021年度確定申告やり方・必要書類

公開日 2021年03月07日

【2021年確定申告】住宅を購入・売却した人は忘れずに!やり方・必要書類を解説します

住宅を購入・売却した人で確定申告が必要となるケース

 

確定申告が必要となるのは、以下のような場合です。

確定申告が必要となるケース

  • 住宅を購入した人が税の優遇制度を適用する場合
  • 住宅を売却して利益または損失が発生した場合

 

それぞれについて解説していきます。

住宅を購入した人が「住宅ローン控除」のような税の優遇制度を適用する場合

住宅ローン控除とは、年末時点で残っている住宅ローンの借入残高の1%に相当する金額を、所得税や住民税から差し引いてくれる制度です。

2年目以降は、お勤め先が実施している年末調整で住宅ローン控除を申請できます。
しかし初年度については、職業にかかわらず確定申告が必要です。
また環境性能に優れた住宅を建てた方や、自宅を改修して環境性能が一定基準に達した方などは、確定申告をすると所得税から一定金額を控除してもらえる場合があります。

 

住宅を売却し利益や損失が発生した場合

前年に住宅を売却した場合、利益が発生した人も損失が発生した人も、基本的に確定申告が必要です。

まず住宅の売却によって利益(譲渡所得)が発生した場合、確定申告をして所得税と住民税を納めなければなりません。

譲渡所得の計算方法

譲渡所得に課税される税金の税率は、以下のように売却した住宅の所有期間によって異なります。

譲渡所得の税率

譲渡所得に対する税率は、最大39.63%と決して低くありません。
そこでマイホームや相続した空き家を売却した場合には、所定の条件を満たすと3,000万円までの譲渡所得について課税されない特例を受けられます。

ただし自動で特例が適用されるわけではなく、確定申告にて所定の申請が必要です。

もし期限内に確定申告をしなかった場合、追徴課税や重加算税といったペナルティーが課せられる恐れがあります。
住宅を売って利益が発生した場合は、必ず確定申告をしましょう。

一方、住宅を売却して損失が発生した場合は、確定申告が必須ではありません。
しかし、確定申告をすることによって、売却による損失を給与所得のような他の所得と相殺し、所得税や住民税の負担を軽減できる場合があります。

確定申告のやり方・必要書類を解説

 

確定申告をする場合、確定申告書と必要書類を作成し、指定された書類を添付して税務署へ提出します。ここでは、確定申告の必要書類や申告方法を確認していきましょう。

確定申告書を記入する

確定申告書には、A様式とB様式の2種類があります。

1年間で得た収入が給与収入のみであるサラリーマンや、公的年金のような雑収入のみである年金受給者などは、A様式の確定申告書を記入します。

確定申告書A様式(表面)
確定申告書A様式(裏面)

例えば、給与以外に他の収入がない方は、A様式の確定申告書で住宅ローン控除や医療費控除などの申告が可能です。

医療費控除とは

医療費控除とは、年間で支払った医療費が一定金額以上であった場合に、課税対象となる所得から一定金額が控除されて税負担を軽減できる制度

B様式とは、給与収入や雑収入だけでなく、事業経営による収入や不動産の売買による収入などにも対応している確定申告書です。住宅を売却して譲渡所得が発生した場合や住宅売却の損失を他の所得と相殺する場合は、B様式の確定申告書を記入します。

確定申告書B様式(表面)
確定申告書B様式(裏面)

申告に必要な書類を記入し添付書類を準備する

次に、申告をする目的に応じた書類を作成し、添付が必要な書類を準備します。

例えば、住宅ローン控除を受ける場合は「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」を作成し、借入先の金融機関から送付される「年末残高等証明書」の添付が必要です。

住宅を売却した方が、3,000万円の特別控除を申告する場合は「譲渡所得の内訳書」を、医療費控除を申告する方は「医療費控除の明細書」を作成します。

また確定申告をする際は、以下どちらかの本人確認書類の添付が必要です。

確定申告で必要な本人確認書類

  1. 「マイナンバーカード」
  2. 「マイナンバー通知カードのような番号が確認できる書類」と「運転免許証のような身元確認書類」の2点

なお確定申告の際に、源泉徴収票を添付する必要はありません。源泉徴収票とは、サラリーマンのような給与所得者の代わりに、勤務先が納めた所得税額を知らせるための書類です。

ただし確定申告書を記入する際には源泉徴収票が必要ですので、紛失してしまった方は勤務先に再発行してもらいましょう。

確定申告の書類を期日までに提出する

必要な書類が準備できたら、お住まいの住所を管轄する税務署に、書類を持参または郵送しましょう。マイナンバーカードと読み取り機器を持っている人や、税務署で専用のIDとパスワードを発行してもらった人は、e-Taxによる電子申告の利用が可能です。

e-Taxを利用すると、作成した提出書類のデータをスマホで送信するだけで確定申告が完了します。税務署に行く時間や書類の郵送費用が不要になるため、e-Taxでの申告にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

確定申告の期限は、例年2月15日〜3月15日まで(土日祝によって変わる)。ただし2020年と2021年は、新型コロナウイルスの影響により確定申告の期限が4月15日まで延長されています。

【2021年】2020年の確定申告をするときの注意点

 

2020年の確定申告をする際は、以下の2点に注意が必要です。

  1. 2020年から基礎控除や給与所得控除の計算方法が変更されている
  2. e-Taxをしなければ青色申告特別控除額が65万円とならない

1.基礎控除や給与所得控除の計算方法が変更されている

2020年から所得税と住民税を計算する際に適用される基礎控除や給与所得控除の金額が変更されるため、一部の方は税負担が増える可能性があります。

所得税や住民税を計算する際、1年間で得た収入のすべてが課税の対象とはなりません。収入のうち、その人の生活背景や状況に応じた一定金額(所得控除)が差し引かれます。

基礎控除は、これまで納税する人の所得にかかわらず、所得税の計算時に年収から38万円を差し引いてくれる所得控除でした。それが2020年からは、以下のように納税者の所得金額に応じて基礎控除の金額が変わります。

※出典:国税庁「No.1199 基礎控除

所得金額の計算方法は、給与所得者であれば「年収-給与所得控除」、自営業者であれば「売上-必要経費」です。所得合計が2,400万円以下であれば、基礎控除額はこれまでの38万円から48万円に増えますが、2,500万円を超えると0 円となります。

給与所得控除とは、サラリーマンや公務員などの給与所得者が受けられる控除制度です。給与所得者は、スーツや鞄などの購入費用を経費にできない代わりに、給与収入に応じた一定金額を必要経費とみなして所得税や住民税が計算されます。

2020年からは、給与所得控除額が10万円減るだけでなく、差し引かれる金額の上限が引下げられます。

※出典:国税庁「No.1410 給与所得控除

一般的な給与収入の方であれば、基礎控除は10万円増えて給与所得控除が10万円減ります。そのため年収やその他の条件が、2019年以前と同じであれば税額は変わりません。しかし年収が高い方は、2020年から税額が増える可能性がある点に注意が必要です。 

2.e-Taxをしなければ青色申告特別控除額が65万円とならない

青色申告特別控除とは、開業届と青色申告承認申請書を提出している方の所得から最大で65万円が控除される制度です。

2020年からは、e-Taxを利用せず申告書類を税務署に持参したり郵送したりした場合、控除額が55万円に減って税負担が増えてしまいます。

青色申告特別控除を受ける予定の方は、できる限りe-Taxで確定申告をしましょう。

まとめ:住宅を購入・売却した人の多くは確定申告が必要

住宅を購入した方は、住宅ローン控除のような税の優遇制度を受ける場合、確定申告が必要です。また住宅を売却して利益が発生した方は、確定申告が必須。売却で損失が発生した方は、確定申告をして他の所得と相殺すると税負担を軽減できる場合があります。

確定申告をするためには、確定申告書と所定の申請書類を作成し、添付が必要な書類を集めて期限までに手続きを済ませなければなりません。

2020年の確定申告の期限は、例年の3月15日から4月15日まで延長されています。しかし年度末はなにかと慌ただしい時期。期限までに申告が終えられるよう、余裕を持って準備を開始しましょう。