耐震基準適合証明書 取得方法や代用の証明書についてです

公開日 2021年03月21日

 

おうち選びに大切な耐震基準適合証明書
取得方法や代用の証明書についてです

 

耐震基準適合証明書の取得方法

税金対策に大きく役立つ耐震基準適合証明書ですが、取得するにはどうしたらいいのでしょうか?

耐震基準適合証明書を発行できるのは、指定性能評価機関や建築士などです。指定性能評価機関は、国土交通省が指定した一般財団法人や住宅診断を専門に行っている業者だけとなります。

しかし、指定機関さえ通せばいつでも好きなときに取得できるものではありません。耐震基準適合証明書は「ある条件」を満たさなければ発行することができないのです。

ここからは、耐震基準適合証明書の発行のタイミングや条件について詳しく解説いていきます。

耐震基準適合証明書の取得に必要な時間

耐震基準適合証明書の発行は、申請後に耐震基準に適合しているかどうか調査を依頼しなければいけません。調査期間を含めると、スムーズにいってトータルで3か月ほど必要です。

依頼後に現地調査を実施するまで

1週間

耐震診断

1カ月程度

補強工事

1~3カ月

調査中に耐震工事が必要と判断された場合、補強工事に2~3カ月ほどかかることも。工事期間がどのくらい長引くのか、建物の状態によって異なりますが2,3カ月ほど必要になります。耐震基準適合証明書の発行を予定しているときは、発行時期を逆算し、前もって耐震調査を申し込んでおきましょう。

発行に必要なもの

耐震基準適合証明書の発行に必要な書類は、以下の通りです。

  • 検査済証
  • 新耐震基準と同じ耐震性があることを証明できる書類

耐震性があることを証明する書類があれば、発行手続きを進めることができます。検査済証は家を建てるときに必ず発行される書類ですので、新築物件においては新たに申請する必要はないでしょう。

ただし、検査済証の発行が義務付けられるようになったのは、2000年に入ってからです。築年数が経過した中古住宅の場合は、検査済証が交付されていないことも。検査済証がない場合は、耐震診断を受けて検査済証に変わる「耐震性があることを証明できる書類」を発行してもらう必要があります。

どの建物でも耐震基準適合証明書は発行できるのか

耐震基準適合証明書を発行できる建物は、「木造」の戸建て以外難しいと考えておきましょう。

RC構造と木造が混ざった「立面的混構造」や「スキップフロア」がある建物、「プレハブ」「伝統工法」はそもそも耐震診断ができませんので、耐震基準適合証明書の発行が難しくなります。

発行する機関にもよりますが、「木造の2階建て以下の戸建て」と限定されていることもあります。

耐震基準適合証明の発行が受けられない物件は、後述で説明する既存住宅瑕疵(かし)保険の加入によって住宅ローン減税を受ける方法を検討します。

耐震基準適合証明書の発行の流れ

 


耐震基準適合証明書の発行は、以下の流れで行われます。

耐震基準適合証明書が発行できるか否かは、申請のタイミングにかかっていると言っても過言ではありません。

時期がずれると発行することができませんので、流れを理解していくことが大切です。

耐震基準適合証明書の発行の流れ

  1. 事前相談
  2. 耐震依頼
  3. 現地調査
  4. 発行依頼
  5. 費用の支払い
  6. 証明書発行

冒頭で、証明書を取得できるのは「家屋を購入する人」「購入した家屋に入居する人」と解説しましたが、すでに居住している人は証明書を取得することができません。
そのため、耐震基準適合証明書は、所有権移転前(物件引き渡し前)に取得しなければいけないのです。

万が一、補強工事が必要になった場合は、半年以上かかることもありますので、申請時期を逆算し、所有権移転登記前に発行しておかなければいけません。

 

耐震基準適合証明書を使用するときの注意点

耐震性がないと判断された中古住宅でも、耐震基準適合証明書があれば住宅ローン控除の対象となったり、固定資産税の減額対象となったりします。

しかし、耐震基準適合証明書さえあれば減税できるとは限りません。ぜっかく苦労して耐震基準適合証明書を取得しても、思うような効果が得られないこともあります。

労力が無駄にならないよう、耐震基準適合証明書を使用するときの注意点についても理解しておきましょう。

住宅ローン減税が適用されないケース

耐震基準適合証明書を取得しても住宅ローン控除が使えないケースがあります。

  • 所有権移転登記をした後に申請した
  • 耐震基準以外で住宅ローン控除の要件を満たすことができなかった

住宅ローン控除には、「住宅ローンの借入期間」「年収」など、耐震基準以外にも様々な適用条件があります。これらの適用条件を満たしていない場合、耐震基準適合証明書があったとしても住宅ローン控除を受けることはできません。

建築後の発行は「難しい」ワケ

すでに建築されている建物が耐震基準を満たしていない場合、補強工事が必要になることがあります。
補強工事は多額のうえ、期間も必要であるため、申請したタイミングによっては、住宅ローン減税の申請に間に合わないというケースが多く見られます。

近年、建設された建物は原則、新耐震基準を満たしていますが、1981年以前に建設された建物は旧耐震基準が採用されているため、ほとんどの場合、必要な耐震基準を満たしていません。このような時期に建設された中古住宅は、多額の補強工事が必要となることが多く、発行を諦める人も少なくないのです。

住宅売買瑕疵保険の既存保険付保証明書で代用可能

耐震診断が難しい中古住宅は、そもそも耐震基準適合証明書を発行することができません。

しかし、既存住宅売買瑕疵(かし)保険に加入していれば住宅ローン減税や登録免許税の軽減措置など、ここまで紹介してきたような減税措置を受けることができます。

既存住宅売買かし保険とは、建物に損傷や劣化があった場合、保険会社が修繕費用を負担してくれる保険です。
既存住宅売買かし保険に加入する場合は、保険法人や検査機関が住宅診断を行うため、耐震基準に適合しているかどうかを確認することができます。

住宅ローン減税を受けたいけれど耐震診断ができない場合は、引き渡し前に「既存住宅売買かし保険」に加入しておきましょう。

まとめ:すべての物件が耐震基準適合証明を発行できるわけではない!状況に応じて既存住宅瑕疵保険の加入の検討を

耐震基準を満たしていることを証明する耐震基準適合証明書。取得できれば、以下のような税金の優遇措置を受けることが可能です。

  • 住宅ローン控除
  • 住宅取得等資金贈与の特例
  • マイホーム取得資金の相続時精算課税の特例
  • 登録免許税軽減の特例
  • 不動産取得税軽減の特例
  • 固定資産税の減税措置

耐震基準適合証明書を発行するためには、耐震基準を満たしていることが条件です。
もし、耐震基準適合証明書が発行できないときは、既存住宅売買瑕疵(かし)保険に加入することを検討しましょう。