公開日 2021年03月27日
「フラット35」とは?仕組みや特徴
前回安定した収入や勤続年数などに今ひとつ自信のない人は、【フラット35】を利用する方法もあります。と書きましたが
こんかいはその「フラット35」仕組みや特徴について調べてみました。
「フラット35」とは、民間金融機関と国土交通省などが所管する独立行政法人の住宅金融支援機構が提携して提供される長期固定金利タイプの住宅ローンです。
長期固定金利住宅ローンは、住宅ローン契約時に返済終了までの借入金利・月々の返済額が確定する住宅ローンなので、返済計画が立てやすく、金利上昇による返済額の増加リスクがありません。
一方で、変動金利タイプなどよりも金利水準が高いというデメリットがあります。
今回のは記事では、そんな「フラット35」も仕組みや特徴をわかりやすく解説してきたいと思います。
住宅金融支援機構ってなに?
国土交通省住宅局と財務省が所管していた住宅金融公庫の業務を継承する形で、2007年に発足した独立行政法人です。
独立して運営されていますが、国土交通省が所管する行政法人なので国の戦略や意向に沿ったサービスや事業を提供しています。
住宅金融公庫の時代は住宅ローンの直接融資も行っていましたが、現在は提携先金融機関が受け付けた「フラット35」を買い取って、
住宅ローン債権として証券化して投資家に売却する仕組みで運営されています。(民間金融機関では貸付が困難な分野においては直接融資も行っています)
「フラット35」の仕組み
前述のとおり、住宅金融支援機構は直接住宅ローンを貸しているわけではありません。
実際に借入れ・借り換えの窓口業務を担うのは銀行や信用金庫・モーゲージバンクなどの金融機関です。
それらの提携金融機関で「フラット35」を申し込むと、銀行は契約後にその住宅ローン債権を住宅金融支援機構に譲渡することになっています。
住宅金融支援機構が金融機関からフラット35の債権を即座に買い取っていることので、フラット35(機構買取型)という名前で呼ばれています。
住宅金融支援機構は買い取った住宅ローン債権を提携の信託銀行に信託します。
信託された債権を担保とする「貸付債権担保住宅金融支援機構債権」を投資家に発行されます。
発行された「貸付債権担保住宅金融支援機構債権」を投資家が購入するという流れです。
住宅金融支援機構は、「フラット35」を取り扱っている数多くの民間金融機関から住宅ローン(フラット35)を買い取り、
それを担保とする債券を発行することで長期の資金調達を行いながら、民間の金融機関が少し手を出しにくい長期固定金利の住宅ローンを一般消費者に提供するしくみを提供しているというわけです。
「フラット35」の特徴
続いて、「フラット35」の特徴をわかりやすく解説してきたいと思います。
1.金利が完済まで変わらない
フラット35は、完済まで金利が変わらない長期固定金利タイプの住宅ローンです。
毎月の住宅ローン返済額が固定できるので、中長期の生活設計がしやすくなるメリットがあります。
2016年に日銀が導入したマイナス金利政策で住宅ローンの金利は大幅に低下しているわけですが、
その低金利下でこれから先30年以上の金利を確定できてしまうことは、
短期的な金利しか低金利が確約されていない変動金利タイプの住宅ローンなどと比べると大きなメリットと言えます。
上記は過去10年間の「フラット35」の金利推移です。10年前の半分以下の金利となっていることがわかります。
保証料、一部繰上返済手数料無料
メガバンクや地銀の住宅ローンで支払いが必要になる保証料はフラット35の場合かかりません。
国が保証するという位置づけで運用されているためです。
「フラット35」の特徴3.アルバイト・パート社員、個人事業主、会社役員も利用可能
利用しやすい審査基準で幅広い国民がマイホームを持てるようにするという国の戦略を後押しすることも目的として持っている住宅ローンなので、
一般的な住宅ローンでは利用が難しい、アルバイト・パート社員、個人事業主、会社役員でも利用しやすいという特徴があります。
「フラット35」の種類
「フラット35」は登場してから毎年様々なニーズに応える形で商品の改善を行っています。
最長35年の長期固定金利の住宅ローンです。(標準的な商品です)
省エネルギー性、耐震性などに優れた住宅を取得される場合に、フラット35の借入金利を一定期間引き下げる制度です。
住宅金融支援機構が金融機関から債権を買い取るのではなく、保障する形で実現されているフラット35です。
通常の「フラット35」と同様、長期固定金利の住宅ローンですが、手数料や金利設定や付帯サービスなど金融機関が自由に決められる領域が広くなっています。
新規の借入れだけでなく、長期固定金利の住宅ローンへの借り換えにも対応しています。(最初は借り換えには対応していませんでした)
中古住宅の購入と併せて行うリフォーム工事の費用もフラット35で借り入れできるフラット35です。 リフォーム工事の内容は限定されていないので自由にリフォームできます。
長期優良住宅の認定を受けた住宅について、償還期間の上限を50年間とする制度です。
- 「フラット35」(買取型)
- 「フラット35S」
- 「フラット35」(保証型)
- 「フラット35」借換え融資
- 「フラット35」リフォーム一体型
- 「フラット50」
「フラット35」は制度改正で利用できる条件が何度も緩和されながら本日に至っています。
借り換え時にも利用できるようになったのもその一環ですし、すでに契約している民間の住宅ローンから「フラット35」へと借り換えすることも、フラット35からフラット35に借り換えることもできます。
「フラット35」の利用条件
「フラット35」を利用するにはいくつかの条件を満たす必要があります。
申し込みできる方の条件
- 申込時年齢が満70歳未満であること(親子リレー返済の場合は満70歳以上でも可能)
- 日本国籍の方、永住許可を受けている方または特別永住者
返済割合の条件
年収に占めるすべての借入れの年間合計返済額の割合が以下の範囲内であること
年収400万円未満 | 年収400万円以上 |
---|---|
30%以下 | 35%以下 |
「すべての借り入れ」は住宅ローンだけではなく、マイカーローン・教育ローン・カードローン・クレジットカードを含みそれら全ての返済額を合計した金額で計算されます。
対象となる建物の条件
- 借入れの対象となる住宅及びその敷地を共有する場合は、申込み本人が共有持分を持つこと
- 住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合している住宅
- 一戸建て住宅、連続建て住宅、重ね建て住宅の場合:70㎡以上
- 共同建ての住宅(マンションなど)の場合:30㎡以上
「フラット35」は、一定の技術基準を満たした住宅が融資の対象になっているので、購入する住宅の性能が悪い(年数が経過した中古住宅など)によっては利用できないことがあります。
最後に表にまとめてみました。
基準項目と概要
一戸建て住宅等(※1) | マンション | ||
---|---|---|---|
接道 | 原則として一般の道に2m以上接すること | ||
住宅の規模(※2) | 70平方メートル以上 | 30平方メートル以上 | |
住宅の規格 | 原則として2以上の居住室(家具等で仕切れる場合でも可)ならびに炊事室、便所及び浴室の設置 | ||
併用住宅の床面積 | 併用住宅の住宅部分の床面積は全体の2分の1以上 | ||
戸建型式等 | 木造の住宅(※3)は一戸建てまたは連続建てに限る | ||
断熱構造 | 住宅の外壁、天井または屋根、床下などに所定の厚さ以上の断熱材を施工(断熱等性能等級2レベル以上) | ||
住宅の構造 | 耐火構造、準耐火構造(※4)または耐久性基準(※5)に適合 | ||
配管設備の点検 | 点検口等の設置 | 共用配管を構造耐力上、主要な壁の内部に設置しないこと | |
区画 | 住宅相互間等を1時間準耐火構造等の界床・界壁で区画 | ||
床の遮音構造 |
|
界床を厚さ15cm以上(RC造の場合) | |
維持管理基準 | 管理規約 |
|
管理規約が定められていること |
長期修繕計画 |
|
計画期間20年以上 |
- ※1. 一戸建て住宅等には、連続建て住宅及び重ね建て住宅を含みます。
- ※2. 住宅の規模とは、住宅部分の床面積をいい、車庫や共用部分(マンションの場合)の面積を除きます。
- ※3. 木造の住宅とは、耐火構造の住宅及び準耐火構造(※4)の住宅以外の住宅をいいます。
- ※4. 準耐火構造には、省令準耐火構造を含みます。
- ※5. 耐久性基準とは、基礎の高さ、床下換気孔等に関する基準です。