公開日 2021年07月21日
今回は【消費税】控除の方式について調べてみました。
まず前提条件として、仕入税額控除の計算で「全額控除」が適用できなくなる要件は、当課税期間中に
- 課税売上高が5億円超えるor
- 課税売上割合が95%未満
の場合です
で、「全額控除」が使えないとなると、
- 個別対応方式 or
- 一括比例配分方式
で仕入税額控除を計算します
個別対応方式の区分の例をわかりやすく解説
一般課税(本則課税)の場合、仕入にかかる消費税額の計算方法には、
「個別対応方式」と「一括比例配分方式」の2つの方法があります。
どちらの方法で計算するかによって仕入にかかる消費税額が異なります。
一括比例配分方式は課税期間中のすべての仕入にかかる消費税額を、課税売上割合分のみ控除します。
個別対応方式では、課税仕入れをさらに3つに分類します。
- 課税売上げにのみ要する課税仕入れ等に係るもの
- 非課税売上にのみ要する課税仕入れ等に係るもの
- 共通して要するもの課税仕入れ等に係るもの
その課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額のすべてを、
- イ 課税売上げにのみ要する課税仕入れ等に係るもの
- ロ 非課税売上げにのみ要する課税仕入れ等に係るもの
- ハ 課税売上げと非課税売上げに共通して要する課税仕入れ等に係るもの
に区分し、次の算式により計算した仕入控除税額をその課税期間中の課税売上げに係る消費税額から控除します。
国税庁:個別対応方式
1、課税売上げにのみ要する課税仕入れ等に係るもの
課税売上にのみ要するものとは、課税売上を発生させるのに必要だった課税仕入れのことですね。
たとえば住居用の不動産と飲食店を運営している会社があるとしましょう。
飲食店の売上を発生させるために要したものといえば、「仕入」がありますが、これが「課税売上にのみ」の区分に該当します。
飲食店の売上は課税取引ですから、課税の売上を発生させるために必要だった課税仕入れはすべて「課税売上のみ」です。
区分を考えるときは、「この課税仕入れに対応する売上って、課税取引かな?」と意識するとわかりやすいと思います。
2、非課税売上にのみ要する課税仕入れ等に係るもの
「非課税売上のみ」で代表的なものは、住居用の不動産に関連した費用ですね。
たとえば、住居用不動産のエレベーター等のメンテナンス費用、修繕費、共用スペースの水道光熱費、管理会社に払う管理費や仲介手数料も「非課税売上のみ」です。
3、共通して要するもの課税仕入れ等に係るもの
「課税売上のみ」と「非課税売上のみ」以外の課税仕入れは「共通」で処理します。
いわゆるバスケットカゴの役割なので、課税売上のみと非課税売上のみの判定をして、どれにも当てはまらなかったときに「共通」を選べばOKです。
よくあるのは、会議費、接待交際費、福利厚生費、税理士等に払う支払報酬料ですかね。
ほぼないとは思いますが、損害賠償金の請求でかかった弁護士費用や諸費用は、不課税売上に対応する課税仕入れになりますが、これは「共通」で処理しますね。
仕入にかかる消費税額 | 仕入税額控除 | 例 |
課税売上にのみ対応するもの | 全額控除できる | 仕入など、直接売上に対応するもの |
課税売上と非課税売上の両方に共通するもの | 課税売上割合分の控除ができる | 水道代や家賃などの経費 |
非課税売上にのみ対応するもの | 全額控除できない | 土地を売却したときの手数料など |
まとめ
きちんと区分がわかれていないと、一括比例配分方式にされる件
個別対応方式で仕入税額控除を計算するのであれば、課税売上のみ、非課税売上のみ、共通の区分はきちんとしましょう。