公開日 2021年12月08日
こんにちは
お世話になっております。
今回は事故物件の告知義務について!国土交通省が策定したガイドライン案をご紹介します。
国土交通省は10月8日、「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を公表しました。
事故物件とは、基本的に「入居者が亡くなる場所となった物件」のことを指しており、自分が住む前の住人が何らかの理由で「その部屋で亡くなった…」ということにストレスを感じてしまうような物件のことです。
なくなる原因はさまざまで、大別すると『殺人』『自殺』『自然死』の3種類が存在しているのですが、
この3種類を同等の事故物件として扱うべきか否かの基準は非常にあいまいです。
それでは、自分が所有している物件が事故物件になった場合、次の入居者募集をする際には、そこで起きた事故についてどこまでの情報を開示しなければならないのでしょうか?
そこで今回は、国土交通省が公表したガイドライン案の内容を簡単にご紹介します。
国交省がガイドライン案を制定した背景は
物件内で、他殺・自殺・事故死などがあった不動産を売却時には、売主・貸主は、その事実を買主にきちんと伝えなければならないという告知義務があります。
他殺や自殺などが過去にあった事故物件には、次にそこに住む方に心理的瑕疵があるとされており、特に居住用不動産の場合は、心理的瑕疵の有無が契約の判断を行う上でかなり影響をあたえることから、事前にそこであった事実を告知しなければならないとされているのです。
ただし、心理的瑕疵告知の根拠となっている「宅地建物取引業法第47条」では、事故物件の告知義務について「告知すべき事故の範囲」や「どのくらいの期間告知しなければならないか」などのルールが明示されていないため、不動産会社によって告知方法などの判断が異なってしまっていたのです。
こういった理由から、国土交通省は、有識者の検討会をへて、2021年5月20日に「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いについて」と題するガイドライン案を公表したという経緯になっています。このガイドラインでは、過去の判例などをもとに、事故物件の告知義務の範囲や期間などがかなり詳しく明示されるようになっています。
今回のガイドライン案は、あくまでもアパートなどの居住用物件を対象としており、オフィスなどは対象外です。
今回、国土交通省が発表した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」により、
告知が必要な場合と、しなくてもいい場合の明確な線引きがなされたことになります。
では、どのような場合に告知をしなくてもいいのでしょうか。ガイドラインのポイントは次のとおりです。
《告知をしなくてもいい場合》 【1】自然死・不慮の死(賃貸借・売買取引)
【2】事案発生からおおむね3年が経過した死(賃貸借取引)
【3】隣接住戸や通常使用しない共用部での死(賃貸借・売買取引)
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まとめ
老衰や病死などの自然死についてはそもそもの告知は不要とされ、専有部や通常使用する共用部での自殺等についても、
発生から3年を過ぎれば原則として告知の必要はないとされたわけです。
ただし特殊清掃が行なわれた場合、事件性がある場合については告知が必要です。
これまで多くの事故物件が買い手を見つけられずにいたことを考えると、ようやく改善の兆しが見えてきたように思います。