公開日 2022年04月24日
2022年度税制改正で住宅ローン控除「13年」再延長が決まる
住宅ローン控除の控除期間は、原則「10年」です。
しかし、2019年の消費税増税、2020年からの新型コロナウイルス感染拡大を受け、住宅ローン控除の期間は「13年」に延長していました。
2022年度税制改正でまた10年に戻ってしまうのかと見られていたものの、引き続き住宅ローン控除を受けられる期間は「13年」となることが決まりました。
中古住宅は対象?住宅ローン控除が13年に延長する条件
住宅ローン控除が「13年」に延長するのは、すべての住宅ではありません。新築住宅および消費税が課税される中古住宅に限定されます。
一般の方同士の不動産取引には、消費税は課税されません。消費税が課税される中古住宅というのは、一般の方ではなく、不動産業者が売主となっている物件です。
「フルリフォーム済み」「フルリノベーション済み」という中古物件を見たことはありませんか?
このような物件の多くは、不動産業者が中古物件を買い取り、リフォームをかけて再販しているもの。
売主は、一般の人ではなく不動産事業者となりますので、建物価格に消費税が課税されます。もちろん、一般の方が売主で、売主自らリフォーム・リノベーションしている可能性もありますので、購入前には必ず確認するようにしてください。
「リフォーム再販物件」などと言われることもありますが、中古住宅の中でも不動産業者が売主になっている物件は、住宅ローン控除を受けられる期間が新築住宅と同じく13年となります。また省エネ性能によって控除額が変わってくる点も、新築住宅と同様です。
【注意】延長する3年間も控除率は一律「0.7%」だけど……
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消費税が10%に増税してから、住宅ローン控除の期間は「13年」に延長しています。しかし2021年までは、延長した3年間の控除額とそれまでの10年間の最大控除額は異なりました。
1~10年目まで:借入残高の1%
11~13年目まで:「借入残高の1%」「建物取得価格の2%÷3」いずれか少ない方
2021年まで、延長した3年間の節税効果は実質的にそれまでの2年分だったということです。
しかし2022年からは、13年間通して最大控除額は一律「借入残高の0.7%」となります。計算も簡易になり、総控除額もそれだけ増えるということですね。
実際に控除されるのは毎年「借入残高の0.7%」とは限らない
13年間の控除額は一律「借入残高の0.7%」ですが、これは“最大控除額”。住宅ローン控除は、次の3つのうち最も少ない金額が控除されますので注意が必要です。
借入残高の0.7%
年間最大控除額(省エネ性能によって異なる)
所得税+住民税額
たとえば、年末ローン残高が6,000万円の年に「0.7%」にあたる42万円が控除されるわけではありません。住宅ローン控除を受けるのが新築等の課税物件で一般住宅であれば、年間最大控除額は21万円となりますので、この年の控除額は21万円となります。
また、この金額を下回る所得税・住民税しか納めていないのであれば、所得税+住民税額が控除額となります。
なお、住宅ローン控除では所得税が優先的に控除され、所得税から控除しきれない分は「9.75万円/年(前年度課税所得×5%)」を上限に住民税から控除されます。
住宅ローン控除を13年受けるにはいつからいつまでに入居すればいい?
税制改正は、原則的にその年の新年度である4月から適用となります。
しかし住宅ローン控除については、申請が入居翌年の確定申告となり、改正点は申告する年の1月1日から適用となります。
つまり、対象住宅については2022年1月1日の入居から改正後の住宅ローン控除が適用となり、控除期間も「13年」です。
そして「いつまでに」ということですが、この点は住宅性能によって以下のように異なります。
長期優良住宅・低炭素住宅等認定住宅:2025年末まで
ZEH水準省エネ住宅:2025年末まで
省エネ基準適合住宅:2025年末まで
一般住宅:2023年末まで
ただ先述通り、一定の省エネ基準を満たしている住宅においても、2024年以降の借入限度額は引き下がります。2026年以降のことは、2022年度税制改正で言及されていません。控除期間はもちろん、住宅ローン控除の制度自体が継続するかもいまだ未定という状況です。
まとめ:住宅ローン控除は「13年」に延長しているものの要件は2022年から複雑化!
ここまでお伝えしてきましたように、2022年も住宅ローン控除の期間は「13年」に延長します。
しかし、13年となるのは新築住宅および消費税が課税される中古住宅のみ。そしてさらに、住宅の省エネ性能によっても控除額や住宅ローン控除が適用となる期日は異なります。