公開日 2022年09月03日 こんにちは 不動産公正取引協議会連合会は、「不動産の表示に関する公正競争規 約(表示規約)」及び「表示規約施行規則」の改正案について、 主な変更点は次のとおりです。 1. 交通の利便性・各種施設までの距離又は所要時間について (1) 販売戸数(区画数)が2以上の分譲物件においては、最も近い住戸(区画)の徒 歩所要時間等を表示することとしていましたが、これに加えて最も遠い住戸(区 画)の所要時間等も表示することとしました(規則第9条第8号)。 例えば、新築分譲マンションで複数棟販売する場合には、最も近い棟の出入り口 と最も遠い棟の出入り口からの徒歩所要時間等の表示が必要になります。 (2) 「通勤時の所要時間が平常時の所要時間を著しく超えるときは通勤時の所要時間 を明示すること」と規定していましたが、 これを「朝の通勤ラッシュ時の所要時間 を明示し、平常時の所要時間をその旨を明示して併記できる」と変更しました(規 則第9条第4号ウ)。 ※ 平常時は特急で25分 乗換え・ 待ち時間 5分~8分 「A駅からB駅まで通勤特急で35分」 (3) 「乗換えを要するときは、その旨を明示すること」と規定していましたが、これ を「乗換えを要するときは、その旨を明示し、所要時間に乗換えに概ね要する時間 を含めること。」に変更しました(同号エ)。 「最寄りのA駅からC駅まで30分~33分」 ※ B駅で●●線に乗り換え ※ 上記所要時間には乗換え・待ち時間が含まれています。 (4) 物件の起点について、マンションやアパートについては、建物の出入り口を起点 とすることを明文化しました(規則第9条第7号)。 (5) 交通の利便について、最寄駅等から物件までの徒歩所要時間を明示するよう規定 していましたが、これを物件から最寄駅等までの徒歩所要時間を明示すること (バ ス便の物件も同じ。)に変更しました(規則第9条第3号)。 「A駅まで徒歩10分」 「物件からB駅まで徒歩15分」 「A駅徒歩10分」(インターネット広告においては、このように表示してい るものが多いですが、 施行後は当該分数を「物件から駅に向かう場合に要する 分数」で表示してください。) 2. 特定事項の明示義務について 土地が擁壁によっておおわれないがけの上又はがけの下にあるときは、その旨を明 示することとしていましたが、 建物を建築する場合に制限が加えられているときは、 その内容も併せて明示することになりました(規則第7条第11号)。 ※ 本物件は擁壁に覆われていないがけ 下にあるため、建築する際は建物の主 要構造部を鉄筋コンクリート造にする 必要があります。 3. 必要な表示事項(別表)に新設(追加)した事項 (1) 別表4から別表9のインターネット広告の必要な表示事項に、「引渡し可能年月 (賃貸物件においては、入居可能時期)」と「取引条件の有効期限」(分譲物件の み)を追加しました。 (2) 別表5に「一棟売りマンション・アパート」を新設するとともに、下記事項を追加 しました 。 ・ 一棟売りマンション・アパートである旨 ・ 建物内の住戸数 ・ 各住戸の専有面積(最小面積及び最大面積) ・ 建物の主たる部分の構造及び階数 擁壁等に覆われて いないがけ Ⅱ. 緩和する規定 1. 物件名称の使用基準について (1) 物件が海(海岸)、湖沼、河川の岸若しくは堤防から直線で300m以内にあれば、 これらの名称も使用できることとしました(規約第19条第1項第3号)。 (2) 街道の名称は、物件が面していないと使用できないこととしていましたが、直線 で50m以内であれば使用できることとしました(同第4号)。 他の建物の外観写真を使用できる条件 ・ 取引する建物を施工する者が過去に施工した建物であること ・ 構造、階数、仕様が同一であること ・ 規模、形状、色等が類似している なお、この場合において、当該写真を大きく掲載する等取引する建物であると 誤認されるおそれのある表示をしてはなりません。 建物が未完成等の場合には、取引する建物と「規模、形質及び外観が同一の他の建物 の外観写真」に限り表示を認めていましたが、 同一でなくても以下の条件に該当すれば、 他の建物の外観写真を表示できることとしました(規則第9条第22号・下記参照)。 2. 未完成の新築住宅等の外観写真について ◆他の建物の外観写真を使用できる条件 ・ 取引する建物を施工する者が過去に施工した建物であること ・ 構造、階数、仕様が同一であること ・ 規模、形状、色等が類似している なお、この場合において、当該写真を大きく掲載する等取引する建物であると 誤認されるおそれのある表示をしてはなりません。 ・「施工例 ※取引する建物とは、外壁、屋根開口部等の 形状が異なります。」 ・「前回販売したA号棟の外観写真です。扉や窓の開口部 の位置等のデザインが異なります。」 3. 学校等の公共施設やスーパー等の商業施設を表示する場合について 「物件からの道路距離を記載すること」としていましたが、 これに加えて徒歩所要時 間の表示も認めることとしました(規則第9条第29号、第31号)。 「スーパー○○まで200m」 「小学校まで徒歩3分」 「市役所まで400m(徒歩5分)」 200m 徒歩3分 4. 二重価格表示について 【二重価格表示をするための要件】 ① 過去の販売価格の公表日及び値下げした日を明示すること。 ※ 「公表時期」を「公表日」に、「値下げの時期」を「値下げの日」に変更 ※ 二重価格表示は、販売価格の比較表示のみであり、賃貸物件の賃料の比較表示は できません。 ➁ 比較対照価格に用いる過去の販売価格は、値下げの直前の価格であって、値 下げ前2か月以上にわたり実際に販売のために公表していた価格であること。 ※ 「3か月以上前に公表された」を「直前の」に変更 ※ 「3か月」を「2か月」に変更 ➂ 値下げの日から6か月以内に表示するものであること。(現行と変更なし) ➃ 過去の販売価格の公表日から二重価格表示を実施する日まで物件の価値に同 一性が認められるものであること。(新設) ➄ 土地(現況有姿分譲地を除く。)又は建物(共有制リゾートクラブ会員権を 除く。)について行う表示であること。(現行と変更なし) 販売価格/3,000万円 2,800万円 (旧価格公表日 2022年8月1日) (新価格設定日 2022年10月5日) 200万円値下げ 5 過去の販売価格を比較対象価格とする二重価格表示の規定を以下のとおり変更しまし た。(規則第12条)。 (3) 予告広告やシリーズ広告が実施できる物件種別として「一棟リノベーションマン ション」を新たに追加し、同マンションの必要な表示事項を「別表6」に新設(追 加)しました。 また、表示規約でいう「一棟リノベーションマンション」の意義を新たに規定し ました。 【別表6】(規約第8条、規則第4条) 新築分譲マンションの必要な表示事項を定めた「別表6」に、中古ではあ るものの、新築分譲マンションと同様の取引がなされることから、一棟リノ ベーションマンションを新設し、下記事項を追加しました。 【一棟リノベーションマンションとは】(規則第3条第11号) 「共同住宅等の1棟の建物全体(内装、外装を含む。)を改装又は改修し、マン ションとして住戸ごとに取引するものであって、当該工事完了前のもの、若しくは 当該工事完了後1年未満のもので、かつ、当該工事完了後居住の用に供されていない もの」をさします。 注)この規定は、予告広告等が実施できる中古マンションを定義したものであり、 「リノベーションマンション」という用語を定義したものではありません。 ・ 一棟リノベーションマンションである旨 ・ リノベーション工事の内容 ・ 当該工事の完了年月(当該工事が完了していない場合は、完了 予定年月) 5. 予告広告やシリーズ広告が実施できる物件に「一棟リノベーションマンショ ン」を新たに追加し、同マンションの必要な表示事項を新設 6. 本広告を実施すべき広告媒体の変更 予告広告後の「本広告」を実施すべき媒体について、 現行規定(予告広告と同一の媒 体で実施する場合)に加えて、インターネット広告のみでも可能とする規定を追加しま した(規約第9条第2項第2号)。 注)この場合、予告広告において、インターネットサイト名(アドレスを含む。)及 び掲載予定時期を明示しなければなりません(同条第3項)。 2 緩和する規定については、施行日前に先取りして表示してしまうと現行規定に違反す るおそれがありますので先取りしないようお願いします。 まとめ いかがでしょうか。 交通や特定事項に関する明示義務がより加重され 逆に 物件価格の移り変わりなど参考にしなければならない条件はより緩和ということですね