公開日 2022年10月16日
こんにちは
「年収400万円」で3000万円の住宅ローンは組めるのか?
計算方法や現実的な借入額を調べてみました
「年収400万円でいくらの住宅ローンが組めるのだろうか」と考えている方もいらっしゃるでしょう。
結論からお伝えすると、年収400万円の方は3,000万円弱の住宅ローンを組めます。しかし収入のうちいくらを返済に充てられるかは、人それぞれです。住宅ローン破産を防ぐためにも、借入額は慎重に決めなければなりません。
この記事では、年収400万円の方が不安なく住宅ローンを組めるように、借入可能額の計算方法や現実的な借入額などを、わかりやすく解説します。
年収400万円の方の住宅ローン借入可能額は3,000万円弱!計算方法を解説
住宅ローンの借入可能額は、年収の他に「返済比率」「他のローンの返済額」「審査金利」を用いて算出されます。
返済比率 | 年収のうち住宅ローンの返済に充ててもよい割合 |
他のローンの返済額 | マイカーローンや教育ローンなどで毎月返済している金額 |
審査金利 | 金融機関が住宅ローンの審査をする際に用いる金利 |
住宅ローンの借り入れ審査時に用いられる返済比率は、税込年収ごとに決められるのが一般的で、金融機関によって異なります。
たとえば、住宅金融支援機構と民間の金融機関が共同で提供する住宅ローン「フラット35」の返済比率は、以下の通りです。
- 年収400万円未満:30%
- 年収400万円以上:35%
審査金利は、以下のように住宅ローンの金利タイプによって決まります。
特徴 | 審査金利 | |
変動金利 | 返済途中の金利が状況に応じて上下する金利タイプ | ・都市銀行:3.1〜3.5% ・ネット銀行:4.0% |
固定金利 | 返済途中の金利が変わらない金利タイプ | 借入金利と同じ |
年収400万円の借入可能額をシミュレーション
住宅ローンの借入可能額の計算式は、以下の通りです。
・借入可能額=(年収×返済比率÷12−他の借入返済額)÷「審査金利◯%で100万円を◯年借りた場合の毎月の返済額」×100万円
ここでは、返済期間を35年、審査金利を3.5%に設定して住宅ローンの借入額を計算していきます。
- 年収:400万円
- 返済比率:35%
- 返済期間:35年
- 審査金利:3.5%
- 審査金利3.5%で100万円を35年借りた場合の毎月の返済額:4,133円
- 他の借り入れ返済額:なし
・借入可能額=(年収×返済比率÷12−他の借入返済額)÷「審査金利で100万円を○年借りた場合の毎月の返済額」×100万円
=116,667円÷4,133円×1,000,000円
≠2,820万円
ただし、他の借入がある場合は、住宅ローンの借入可能額が少なくなる点に注意が必要です。たとえば、マイカーローンを毎月3万円返済していた場合、住宅ローンの借入可能額は2,090万円となります。
住宅ローンは自分自身が返済できる金額を借り入れる
先ほどのシミュレーションで計算をしたのは、あくまで金融機関が貸してくれる金額です。年収400万円の方が、金融機関が貸出した金額を、実際に返済していけるかとは限りません。
税込年収400万円から、税金や社会保険料を差し引いた手取り収入は、毎月約25〜26万円。このうち、いくらを住宅ローンの返済に充てられるのかは、個人の生活によって異なります。
たとえば、収入が同じである場合、一般的に独身の方よりも子どもがいる既婚者の方が、生活費や教育費がかかる分だけ、居住費に充てられる金額は少なくなります。
マンションを購入した場合、住宅ローンの返済に加えて、管理費や修繕積立金を支払っていかなければなりません。自家用車を所有している場合は、駐車場台の支払いも必要です。
戸建て住宅を購入した場合は、将来の修繕や増改築に備えて、計画的に積み立てをしておく必要があります。
住宅ローンの借入額は、手取り収入のうち居住費に充てられるのはいくらで、ローンの返済以外にどのような費用がかかるのかを踏まえて決めましょう。
年収400万円の現実的な住宅ローン借入額
変動金利の方が低金利であるため、借入額の目安は高くなります。
しかし変動金利の審査金利は3.1〜4.0%と借入金利よりも高く設定されています。年収400万円の方の借入可能額は約2,630万〜2,980万円となるあため、年収の25%を返済に充てられるとしても、変動金利で3,200万円を借り入れるのは困難でしょう。
加えて変動金利は、将来的に利息額や返済総額が増える恐れがあります。そのため金利が上昇したときに繰り上げ返済できるよう、借入額を目安よりも少なくし、差額を貯蓄にまわした方が現実的です。
一方で固定金利は、返済途中の金利変動がなく、審査金利と借入金利が同じです。将来的に収入が低下して返済が困難になる可能性が低いのであれば、返済可能額から逆算した借入額の目安いっぱいまで借り入れても問題ないと考えられます。
年収400万円の方でも3,000万円以上の物件を購入する方法年収400万円の方でも、自己資金や借入額を増やすことで、3,000万円以上の物件を購入できる可能性があります。
では、自己資金や借入額をどのように増やせば良いのでしょうか?方法を、一つずつ解説していきます。
父母や祖父母から資金提供を受ける
1つ目の方法は、父母や祖父母などの親族から資金提供を受けて自己資金を増やして購入する方法です。
親族からの資金提供であっても、年間に110万円超の財産を贈与された場合、贈与税を支払わなければなりません。しかし父母や祖父母から住宅購入資金を援助してもらった場合、契約を締結した日に応じた一定金額まで贈与税が非課税となります。
契約を締結した日 | 省エネ等住宅 | 左記以外の住宅 |
2020年4月1日~2021年3月31日 | 1,500万円 | 1,000万円 |
2021年4月1日~2021年12月31日 | 1,200万円 | 700万円 |
※省エネ等住宅とは、耐震性能やバリアフリー性能などが一定以上の性能である長期優良住宅
もし両親から1,000万円の資金提供を受けられた場合、2,500万円の借り入れで3,500万円の物件を購入できます。
収入合算やペアローンを利用する
もし働いて収入を得ている配偶者がいる場合、収入合算やペアローンを利用することで、住宅ローンの借入額を増やせます。
- 収入合算:親族の収入を借り入れる人の年収に合算して住宅ローンを借り入れる方法
- ペアローン:夫婦それぞれで住宅ローンを借り入れる方法
ペアローンでは住宅ローン契約が2本となるため、収入合算よりもさらに多くの住宅ローンを借り入れられる可能性があります。一方でペアローンは事務手数料や印紙代などが2本分かかる点に注意が必要です。
また、収入合算やペアローンは、配偶者が育産休を取った場合や離職した場合も、引き続き返済しなければなりません。収入合算やペアローンの利用は、今後のライフプランも踏まえて慎重に検討しましょう。
まとめ:住宅ローンの借入額は返済できる範囲で設定する
年収400万円の方は、3,000万円弱の住宅ローンを借り入れられます。
ただし金融機関が貸してくれる金額とご自身が返済している金額は同じではないため、 今後のライフプランを踏まえて慎重に検討しましょう。