公開日 2023年01月14日
こんにちは
中国政府が新型コロナウイルス対策の「ゼロコロナ」政策を事実上終了し、
中国人が旅行や出張で日本を含む海外に渡航できるようになりました。
まだ 日本における入国検査は厳しいものがあるようですが
春になり コロナ感染終息に従い 進出してくる人数も増加することでしょう。
では、なぜ彼らは日本で就労したいと考えているのでしょうか。調べてみるとこれには3つの理由があります。
① 「地域による経済格差」
世界有数の格差社会である中国では、所得上位1%の人たちが下位50%の全体より多くの資産を保有しているとも言われています。中国には23の「省」と呼ばれる行政地区がありますが(他に5つの「自治区」や4つの「管轄地直轄市」もある)、それらの地域間には大きな経済格差が存在します。
例えば、私の地元である中国東北部の吉林省(人口2690万人)は、人口規模では上海市(2428万人)と同程度ですが、2019年のGDPは吉林省の11,727億元(19.6兆円)に対し、上海市は38,700億元(約64.6兆円)と3倍以上の差があります。そのため都市部に“良い仕事”を求める人が集中します。
② 「農村戸籍と農民工」
また、中国には国民の戸籍を都市と農村に分ける独自の戸籍制度があり、2018年時点では農村戸籍の比率が5割以上を占めています。多くの農村出身の労働者(農民工)は賃金の高い都市に出稼ぎに行き、建設現場や製造工場などのブルーカラーとして働いており、2019年の時点で農民工は2.9億人にのぼります。平均月収は3千元(約5万円)台程度ですから、都市部の物価を考えると生活は大変厳しいことがうかがえます。
③「学歴至上主義社会」
「中国の給料は日本と変わらない」というような話を時々耳にしますが、それはあくまで北京、上海、広州、深センなどの大都市の外資系や現地中堅企業、国有企業の管理職などのごく一部の話であり、未だに5,000元(約8万円)以下の月収で働く人々が全体の8割以上を占めています
そもそも、条件の良い仕事に就くためには、大学受験から始まる熾烈な競争を勝ち抜かなければなりません。昨年の大学受験者数は1000万人を超え(日本は約55万人)、世界からみても激しい受験戦争と言えます。また、例え大卒であっても、一流大学(重点大学)卒でないと中国の大都市では、上述したような仕事に就くのは非常に困難です。多くの学生たちが欧米や日本に留学するのも、自分の専門性を高めたり、海外の大学や大学院の学位によって自身の学歴に箔をつけたりして、将来良い仕事に就きたいと考えるためです。