公開日 2023年04月22日
こんにちは
先週 以下のような本を紹介しました
日銀OBのエコノミストによる
金融政策の欠陥と危機という観点から批判する内容です
今回は金融庁側からの日本銀行に迫る債務超過の危機を回避する手段について
〇マイナス金利政策
〇レバレッジを基金にかけることによる危機の回避
を説明します。
〇マイナス金利政策
マイナス金利とは、民間の金融機関が中央銀行(日本では日銀)に預けている預金金利をマイナスにすることです。金利のマイナス化により、預金者が金利を支払うことになります。
日銀のマイナス金利政策は、2016年1月に「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」として導入されました。日銀のマイナス金利政策でマイナス金利が適用されるのは、金融機関が持つ日銀の当座預金のごく一部です。日銀はマイナス金利政策によって、金融機関が日銀に資金を預けたままにしておくと金利を支払わなければならなくすることで、金融機関が企業への貸し出しや投資に資金を回すように促し、経済活性化とデフレ脱却を目指しています。
と説明されてます。
そして金融庁の説補足として
日本は先進国で唯一、マイナス金利政策を継続している国といわれてます。
この政策はたしかに、融資や国債で市場金利がなくなる一方、預金の調達金利でマイナス金利を転嫁できないアンバランスな政策ともいえます。
しかし金融機関経営にとっては収益を一部収奪するような政策で、収益構造改革を促す面があるものの、金融システムの耐久力を試すような政策でもあります。
今、現実としてマイナス金利を解除するとインパクトはある。それをいつやるのかは政策の意図もあるので日銀の判断ですが
低金利時代を日銀が20年以上続いていても財務基盤を確保できたのは、それぞれの金融機関が皆、経費を効率化し、店舗まで踏み込んで構造問題に踏み込んだからでしょう。
これにより企業倒産があまり発生していないことで信用コストがかかっていない恩恵も受けました。
すなわち低金利政策の中でも持続できるビジネスモデルを作ってきたのです。
と説明されてます。
〇レバレッジを基金にかけることによる危機の回避
レバレッジデリバティブは、少額の資金を元手にして、多額の資産に投資したのと同様の効果を得られるという特性がある。これをレバレッジ(てこの効果)という。例えば、取引所に上場している先物を取引する時には、証拠金と呼ばれる現金等を差し入れれば、それの数倍から数十倍に相当する金額の取引ができるため、そのような効果が生ずる。
と説明されてます
この政策が失敗すると金利の上昇を食い止められなくなり、市場が混乱します。
現に英国では政府の財政政策、中央銀行の金融政策が絡み合い、昨年9月に金利が急騰する事件が起きました。年金基金が突如、資金繰りに窮する金融市場の混乱を招いてしまったのです。すなわち英国でなぜ、金利が急騰したかと言うと、年金基金がレバレッジを掛けていたからだ。無理に収益を稼ごうとして、国債を担保に入れて身の丈を超えた資金を運用していたのです。金利上昇が始まると、担保価格が下落して証拠金の追加が必要となり、国債を投げ売りしたことでさらに金利上昇に拍車がかかったと言われています。
それでは日本に同じようにレバレッジをかけている主体がいるでしょうか。
金融庁によると
今把握している範囲では見つかっていないとのことです。
そして日本の国債もいつかどこかで信任を失い、金融市場の混乱につながることを防止するため、我々ができることは『リスクを早め早めに察知し、早め早めに警鐘を鳴らす』してます。
金融ビジネスはリスクを取らないと収益につながらない。金利が上がると不良債権になるかもしれないが、『じゃあ、貸し出しやめましょう』というわけにはいかないし、『株も下がるから株もやめましょう』というわけにもいかない。
上手にリスクを管理しながらビジネスをしてもらうことに尽きるのです」と説明してます。
資本基盤や収益基盤が弱いところほど無理をしたくなるからそこを抑制する施策をとってます。
具体的に金融庁は2018年夏に局を再編し、総合政策局をつくった。そこでは横串を刺して、グローバルも含めできるだけ広いマクロの視点を個別データと照らし合わせながらモニタリングしています。
全金融機関に警鐘を鳴らすというよりは、脆弱な金融機関を見つけにいき、そこに対して個別に警鐘を鳴らしていくようです。
まとめ
警笛を鳴らす意見にも耳を傾けながら、警笛ばかりでは動くものも動きません
金融市況の動きを止めず低金利を続けていきながらも、市況が破綻しないよう様々な施策を打っていることは重要と思います。
今後とも『リスクを早め早めに察知し、国民にリスクを開示し早め早めに警鐘を鳴らす』ことを望みます。