公開日 2023年09月17日
2023年の住宅ローン金利見通しは今後どうなる?
日銀の相次ぐ金利引き上げで長期固定金利は上昇、変動金利も銀行の運用方針転換で上昇も
最新の情報その2です
【長期固定金利】日銀政策変更で上昇へ
次に、長期固定金利の金利がどうなるか見ていこう。
フラット35は、10年国債金利とほぼ連動
長期固定金利の代表格である「フラット35」の金利(返済期間21年以上、頭金10%以上の最低金利)の推移を振り返ってみる。
下のグラフは過去15年間の金利推移だが、現在は低金利であることが分かるだろう。2007年当時は3%強だった金利は、2019年9月に過去最低金利の1.11%を記録。その後上昇しているものの、2022年12月は1.65%(団体信用生命保険込み)だ。今なお、住宅ローン金利は低水準にあるといえる。
なお、フラット35の金利は、貸出資金を市場から調達しているため、日本国債10年の利回りとほぼ連動している。グラフを見ても、その連動ぶりがよく分かるだろう。
日銀による金融緩和策により、10年国債金利はずっと下落してきたが、長期金利については、徐々に引き上げ方向にかじを切っている。2022年12月には10年国債金利の上限を0.25%から0.5%に引き上げ、2023年7月には1%に引き上げている。今後はフラット35の金利は上昇する可能性がある。
※2019年9月以前は、団信保険料が別途支払いだったため、保険料に当たる0.358%を足した金利とした
なお、フラット35には2タイプあることを知っておきたい。多くの金融機関が扱っている「フラット35(買取型)」は、最低金利がほぼ横並びとなっている。
一方で、ARUHI、住信SBIネット銀行などが取り扱っている「フラット35(保証型)」については、「フラット35(買取型)」よりも低い金利を設定している。さらに、頭金の割合が多いほど金利が下がる仕組みになっており、フラット35を利用するなら「フラット35(保証型)」を検討したいところだ。
民間銀行の長期固定金利
では、民間銀行による「長期固定金利」の住宅ローンはどうなるのか。
変動金利のケースと同様に、市場金利(10年国債金利)との連動性が高い「店頭金利」が下がっているだけでなく、「金利優遇幅」も徐々に拡大している。結果として、長期固定金利は、年々下落してきた。
下図は10年固定金利の内訳を図解したものだ。
■金融優遇幅は拡大してきた
住宅ローンの10年固定金利(実際の貸出金利である「表面金利」)は、14年前(2008年9月)は2.950%もあったが、2021年12月には1.400%まで低下している。ネット銀行などでは、0.6%程度という非常に低い金利を提示している。
店頭金利の下落もあるが、それ以上に大きいのが優遇幅の拡大だ。2021年11月の金利優遇幅は2.000%であり、店頭金利との差は非常に大きい。やはり、銀行間の競争による「金利優遇幅」の寄与度はかなり大きいといえる。
今後も住宅ローンを獲得したいという銀行の姿勢に変わりはないので、「金利優遇幅」は当面は変わらないだろう。