建物倒壊の3つの脅威は「強い揺れ・繰り返し・共振現象」

公開日 2024年01月06日

こんにちは

 

建物倒壊の3つの脅威は「強い揺れ・繰り返し・共振現象」

建物倒壊の大きな原因は「強い揺れ・繰り返し・共振現象」の3つといわれています。

これらはどのように建物に脅威を与えるのかについてそれぞれご説明していきます。

強い揺れ

強い揺れは、建物倒壊を招く一番の原因といわれています。

強い揺れによって建物の構造耐力上主要な部分(基礎、壁、柱、土台、筋交いなどの斜材、梁、床版、屋根版など)が崩れ、建物が更に揺れやすくなり建物倒壊へとつながります。

当然ですが建物の揺れが大きければ大きいほど、建物の構造耐力上主要な部分へ加わるダメージも大きくなります。

繰り返し

 

建物倒壊は強い揺れの時にだけ起きるものではありません。

強い揺れや弱い揺れのどちらであっても、地震の揺れによって建物に加わったダメージはその建物内に次第に蓄積されていきます。

たとえば日常的に小さな地震が何度か起きると小さなダメージが蓄積されて、徐々に建物が弱くなっていきます。

また、大きな地震の後に余震が続くことがありますが、大きな地震によって損傷した状態の建物に余震が繰り返し起こることでその度に建物が弱くなり、さらに揺れの影響を受けやすくなります。

このように揺れの大小・強弱に関わらず、繰り返し地震の揺れを受けてダメージが蓄積されるごとに建物自体がだんだん弱体化し、建物倒壊につながってしまいます。

共振現象

共振現象とは、「地震の揺れの周期」と「建物の固有周期」が一致することによって建物の揺れが増幅される現象のことです。

共振現象によって建物の揺れが大きくなり、建物倒壊を引き起こします。

地震から感じる揺れが1往復するのにかかる時間を「周期」といい、建物が1回揺れる時間を「固定周期」と呼びます。

地震の周期は

  • 極短周期地震動
  • 短周期地震動
  • 稍(やや)短周期地震動
  • 稍(やや)長周期地震動
  • 長周期地震動
  • 超長周期地震動

の6つに区分されています。

また、建物の固定周期は

  • 建物の高さ
  • 建物の重さ
  • 建物の固さ

などによって個々に決まっています。

地震の揺れと建物の揺れのそれぞれの周期がぴったりと合致してしまうことで、建物がより大きく揺れてしまう共振現象となります。

共振現象では、地震の周期の長短によって影響を受けやすい建物が変わります。


 

戸建て住宅の「強い揺れ・繰り返し・共振現象」対策

これら「耐震・制震・免震」の地震対策3本柱ですが、建物倒壊の原因となる「強い揺れ・繰り返し・共振現象」への対策としてそれぞれに効果を発揮します。

「強い揺れ」

一般的な戸建住宅の場合、耐震と制震を組み合わせて取り入れることで、建物倒壊リスクをより低減することができます。

まず耐震によって建物を頑丈にし耐震性を高めることで、強い揺れにも耐えられる対策ができます。

建築基準法では耐震基準が設けられており、現行の耐震基準では

  • 中規模の地震(震度5強程度):家屋や建物が倒壊せず、破損しても補修すれば居住可能である
  • 大規模の地震(震度6強から震度7程度)家屋や建物が倒壊・崩壊しない

と定められているため、最低でも上記の耐震性が確保されています。

さらに制震の技術を取り入れて大きな揺れのエネルギーを吸収することで、建物の揺れをより低減することができます。

「繰り返し」の揺れ

繰り返しの揺れは、特に大規模地震後の余震時に建物倒壊を引き起こす原因となります。

先述の耐震のデメリットにもあるように、「繰り返し」の揺れには耐震だけでは対応しきれません。

そこで制震の技術が活きてきます。

耐震化された住宅へ制振装置(制震ダンパー)を設置することで、高い耐震性+繰り返しの揺れにも強い家にすることが可能です。

「共振現象」

耐震と制震は共振現象へも効果を発揮します。

現行の耐震基準では、共振現象が起きても建物が崩壊や倒壊しないような設計強度が定められています。

そして制震装置の中でも特に油圧式のオイルダンパーは、共振現象に効果を発揮するといわれています。

免震は3本柱の中で最も揺れの伝達を防ぐことができる技術で、強い揺れや繰り返し、そして共振現象にも効果的ですが、現時点では一般的な戸建住宅へ免震を取り入れる場合、技術面やコスト面でハードルが高くなっています。

そのため免震は、マンションや高層ビルなどの長周期地震動の影響をうけやすい高さの高い建物で、耐震や制震と組み合わせて主に取り入れられています。

まとめ

 

耐震性が高い場合でも、繰り返し地震を受けたり共振現象が起きてしまうと、建物倒壊の危険度が増してしまいます。

繰り返しになりますが、建物倒壊は地震被害の中でも重大な内容につながりやすい被害です。

建物が倒壊するメカニズムと地震対策の特徴を理解し、それぞれに合った対策を講じておくことで被害を最小限に抑えることができるのではないでしょうか