公開日 2024年03月02日
こんにちは
本日はクラシック音楽の話
20世紀のフランスの音楽界において、最高の作曲家として名高いオリヴィエ・メシアン。なかでも今回紹介する「トゥランガリラ交響曲」は、メシアン作品の中でもっとも演奏機会の多い作品として、人々に親しまれています。初めて聴く人にとっては不思議な印象を受けるかもしれませんが、その分、新しい音楽体験ができること間違いなしです。今回は「トゥランガリラ交響曲」について解説します。
トゥランガリラ交響曲について
トゥランガリラ交響曲は、ボストン交響楽団の音楽監督セルゲイ・クーセヴィツキーが設立したクーセヴィツキー財団の委嘱により、1946年から1948年にかけて作曲されました。メシアンが作曲した管弦楽作品の中でも最大規模の作品であり、また現代音楽を代表する傑作の一つとして演奏機会の多い1曲です。作曲当初は4楽章構成として書かれましたが、最終的に10楽章構成という壮大な作品となりました。
本作は、中世の伝説『トリスタンとイゾルデ』からインスピレーションを受けて作曲され、
「ハラウィ・愛と死の歌」「5つのルシャン」と並び「トリスタン三部作」の1つに数えられています。1949年、アメリカ・ボストンにて、レナード・バーンスタインの指揮で初演され、その翌年の1950年にフランス本国でも初演されました。オンド・マルトノと呼ばれる電子楽器を用いた本作は、現代クラシック音楽に新たな地平を切り開くきっかけとなっています。
トゥランガリラの意味とは?
曲名の「トゥランガリラ」とは、サンスクリット語で「時」「天候」「楽章」「リズム」などを意味するTurangaと、「遊戯」「競技」「愛」を意味するLilaの複合語です。このことからトゥランガリラとは「愛の歌」や「喜びの聖歌」などを意味すると考えられています。あるいは、インド音楽に存在する120のリズムのうちの33番目のリズム名から取られたとする説や、インドの女性の名前に由来するとする説など、さまざまな説があります。
壮大な楽曲編成
トゥランガリラ交響曲は、交響曲としても壮大な全10楽章で構成されています。そのうち、1・5・6・10楽章は作品全体を支える枠組的楽章であり、2・4・8楽章は「愛の歌」、3・7・9楽章に「トゥランガリラ」が組み込まれています。作品全体としては、現代音楽らしい無調音楽ですが、5・6・10楽章では調性が明確となっています。筆者個人としては、第5楽章の大胆な構成がお気に入りです。