問いが有効、自走できていない社員に自走を促す方法

公開日 2024年06月22日

こんにちは

 

近年、言われたことしかやらない、自ら考えて行動しない(自走しない)社員が増えていると言われています。自走できない社員を育成するのは難しい課題のため、どうしたらよいのか悩まれている経営者や上司の方も多いでしょう。責任感ある社員を育成するには、仕事を「会社のこと」ではなく「自分ごと」として捉える姿勢が必要です。そのためには、経営者や上司からの問いかけや接し方が大きく影響します。

今回は自走できていない社員に自走を促す方法などについて興味深い話です


 

自走を促すためには「問い」が有効

自発的に動くことができない部下が自走できるようになるためには、どのようにすればよいのでしょうか?

自走できる人とできない人の違いは「仕事をどれだけ自分ごと化できているか」という部分が大きく関係していると思います。部下が自走できるようになるために、私たちは問い(クエスチョン)というものが非常に有効だと考えています。この「問い」は「本人がどんな問いを持てるとよいのか」という意味です。

中でも有効な質問が、If質問です。例えば「もし仮にA社に友だちが勤めていたとしたら、どんなことを聞いてみたいですか?」など、非現実的な質問をあえてしてみます。そうすると部下は、頭を揺さぶられるわけです。


上司が部下に投げかけるべき「問い」とは?

上司は部下に対して、どのような問いを投げかけるべきでしょうか?

「どうすればできそうか」「どうすれば上手くいきそうか」という具体的な解決手段までイメージできるような問いかけを心がけてください。これはユーザー目線で製品やサービスの本質的なニーズを見出し、解決する思考法である「デザイン思考」の中にある「How might We?」という考え方です。

例えば、メーカーに勤める開発者であれば「なぜうちの会社では、新製品が生まれないのだろう?」という問いを持ちやすいでしょう。この問いを突き詰めることによって、新製品が生まれない原因はわかるかもしれません。しかし、できない理由がわかったとしても、できないものはできなかったりします。

一方「How might We?」とは「どうしたら新製品が生まれそうか」という問いを持つ考え方です。常日ごろからこういった問いを持っていた方が、行動へのエネルギーが生まれたり、新しいヒントが得やすくなったりするでしょう。

部下に質問する際に、上司はあらかじめ答えを持たないほうがいいでしょう。上司が答えを持ってしまうと、部下は上司の中にある答えを探すようになります。悪く言えば、上司の顔色を伺うようになってしまうのです。

上司は自分自身に成功体験があるため答えを持ちがちですが、部下が自分の中から探せた方が行動に変わりやすいので、避けるべきでしょう。

なお上司の側も「自分が上司として答えを持っていなくてはならない」というプレッシャーがあるかも知れません。しかし、上司が提供すべきは「答え」ではなく「問い」です。「問い」を上手く活用できるようになると、このプレッシャーからも解放されます。

上司はどんな姿勢で部下を指導するべき?

上司は部下に対して、どのようなかかわり方をするべきでしょうか?

私たちが推奨しているのは「支援型リーダーシップ」です。

通常リーダーシップといえば、グイグイ引っ張っていく統率型のイメージが強いでしょう。統率型リーダーシップの場合、上司が常に答えや基準を持っており、部下へのコミュニケーションは指示や命令になります。そのため、部下が指示待ちになる可能性が高いです。

上司は「自分で考えて動いてほしい」とは思いながらも、実際は自分の中で答えを描いてしてしまうことがあります。すると、内心は「自分の指示通り動いてほしい」となってしまいます。その結果として育まれるカルチャーは、部下が上司に与えられた問題を解決するスタンスになってしまいます。悪くいえば、指示待ちの部下に育つ可能性が高いということです。

一方、私たちが推奨している支援型リーダーシップは「部下や現場の中に答えがある」という前提に立っています。上司が部下の中に答えがあると思っていると、自分の中に答えがないので部下に聞かざるを得なくなります。その結果、部下の話を聞くために、質問や問いかけというコミュニケーションへと変化するのです。

部下は自分の中に答えがあるので、当然自分の中、もしくは現場から答えを探すようになります。そのため、部下が良い意味で周囲や上司を頼るカルチャーが醸成されます。部下が主体性や創造性を発揮して自ら問題を発見することは、責任感が生まれている状態だと言い換えられます。


まとめ

「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。」

「やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」

「やってみせ、言って聞かせて、させてみて」というのは、先ほどのお話でいうところのティーチングのフェーズといえます。そして、次のフェーズである「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。」は、まさにコーチングのスタンスです。

相手の中にも答えがあるので、それを聞いて承認し任せてあげることによって、ようやく人は育ちます。さらに言うと「やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」は、エンパワーメントのフェーズだといえるでしょう。エンパワーメントとは、組織に所属するメンバー全員が自分で意思決定を行いながら、積極的に行動できるようにすることです。

ティーチングとコーチング、エンパワーメントというフェーズを、部下の成長に合わせて使い分けることが大切です。