公開日 2025年02月01日
こんにちは
広告主が続々撤退のフジテレビ、「不動産収入があるから潰れない」は本当か?
決算データから検証、ホテル事業は好調、不動産では多額の含み益も…
企業の決算から、不動産業界の現状について考える本連載。今回取り上げるのは、いま大きな話題になっているフジ・メディア・ホールディングス(フジメディアHD)です。
フジテレビを展開している企業ですが、サンケイビルなどの不動産事業で大きく稼いでいることでも知られています。
直近ではガバナンス上の問題からスポンサー離れが進んでおり、大きな話題となっています。このままスポンサー離れが加速した場合、フジテレビはどうなるのでしょうか。
今回は、フジメディアHDの不動産事業の状況などを確認しつつ、その影響を考えていきたいと思います。
フジテレビの利益は全体の15%程度
それではまずは、フジメディアHDの事業内容から見ていきます。事業セグメントは以下の3つです。
(1)メディアコンテンツ事業
「フジテレビ」や「ビーエスフジ」などのメディア、「ポニーキャニオン」や広告事業など
(2)都市開発・観光事業
サンケイビルを中心とする不動産賃貸業や、「グランビスタ」ブランドのホテル事業など
(3)その他
メディア運営の他に不動産やホテル事業などを展開している企業となっています
2023年度時点のセグメント別の売上と(利益)の構成は以下の通りです。

フジメディアホールディングス『2024年3月期 決算説明会資料』
1.メディアコンテンツ事業
→74.5%(43.4%)
2.都市開発・観光事業
→22.1%(54.0%)
3.その他
→3.4%(2.6%)
売上で見ると、メディアコンテンツ事業が8割近くを占めていて主力となっていますが、利益面で見ると都市開発・観光事業の方が規模が大きいです。メディアより不動産やホテルで稼いでいる企業なんですね。
また、2023年度ではメディアコンテンツ事業の営業利益は157億円とそれなりの利益を出していますが、実はそのうちフジテレビの利益は54億円ほどにとどまっています。
企業全体のセグメント利益は361億円ほどありますから、フジテレビは全体の利益のうち15%ほどにすぎない、ということです。
フジテレビは視聴率が民放キー局の中で低迷していることもあり、あまり稼げておらず利益へのインパクトは小さいんですね。
ということで、実はフジHDはそもそもフジテレビで稼いでいる企業ではないということが分かります。
ちなみに、フジテレビは利益率2.3%で営業利益が54億円であるのに対し、ビーエスフジは利益率19.5%で営業利益が31億円と利益率が高くなっています。ビーエスフジは、利益面では意外と規模が大きな事業です。
地上波放送免許は都道府県単位で交付されますから、地上派の場合、系列ローカル局にネットワーク費を支払うことになります。一方、BS放送はローカル局を経由せず放送できるため、利益率が高いという側面があります。
視聴率が低迷し、広告費が減少する中で、テレビ局はビジネスモデル的にも稼ぎにくくなっているということです。
続いて、業績の推移を見ていくと、売上はコロナ禍で減少して以降低迷が続いていますが、その一方で利益面は2021年度以降は2019年度を上回って推移しています。
セグメント別の推移を見ていくと、都市開発・観光事業が伸びていることもありますが、メディアコンテンツ事業に関しても、売上は2019年度比で減少している一方で、利益面は増益となっています。
利益面に関しては、両事業とも堅調だったんですね。
とはいえ、メディア・コンテンツ事業ではフジテレビは2019年度の営業利益は72億円ほどでしたが、2023年度は54億円で減益となっています。
フジテレビは広告収入が減少する中で売上が減少しており、番組制作費の削減などで一定の利益水準は維持しているものの、苦しい状況にいるということです。
近年のフジメディアHDは、テレビ局の低迷が続いているものの、テレビ局以外のメディア事業や不動産・ホテル事業などが堅調で利益面は堅調だということですね。
また、直近の2025年3月期2Qの業績は以下の通りです。
<フジメディアHD 2025年3月期2Q>
・売上高
2681億円(+0.2%)
・営業利益
139億円(+6.6%)
・経常利益
176億円(+15.9%)
・純利益
126億円(+25.4%)
若干の増収で増益と、好調です。セグメント別では両事業とも増益ですが、特にメディアコンテンツ事業が伸びています。
その要因はTverなどの配信事業の成長です。低迷しているとはいえ、テレビ局のコンテンツ制作能力は非常に高いですから、配信事業の成長は続いています。
テレビというプラットフォームでは稼ぎにくくなっているものの、コンテンツ制作能力を活かした配信に関してはやはり強みがあるということでしょう。
さらに、ホテル事業の利益は+14億円と増加が続いています。2024年10月には、ホテルの単価が過去最高になったとのニュースもあり、活況なインバウンド需要続くなかで、今後もホテル事業は成長余地が考えられます。
ということで、今回の問題が起きる以前の段階では、テレビ局としては低迷している一方、配信による一定の成長余地はあり、テレビ局以外のメディア事業は堅調でした。
さらに、ホテル事業の単価上昇による成長もあり、事業の状況は悪くなかったということです。
進むスポンサー離れでどうなる?
では、今回の問題が起きて、スポンサー離れが止まらない場合、今後のフジメディアHDの業績はどうなるのでしょうか?
先ほど見た通りで、利益面はフジテレビ以外で大半を稼いでいるフジメディアHDですが、2023年度のフジテレビの売上は2382億円あり、全体のうち約4割を占めています。
利益面では規模が小さいものの、テレビ局の事業規模自体は大きいわけです。そして、広告収入は1473億円と、フジテレビの売上の約6割を占める主力の収益源です。
スポンサー離れによる広告収入減少は、フジテレビの大幅な売上の減少に繋がるということです。
フジメディアHDの経営は傾くのか?
では、広告収入が大きく減少してフジテレビの業績が大幅に悪化した際に、企業運営に支障が出るようなことはあるのでしょうか?
結論から言うと、それはまったく考えられません。
先ほどから見てきた通りで、不動産やホテル事業で200億円弱も利益を出すことができていますし、ホテル事業は単価の上昇や活況なインバウンドによる好影響も期待される状況です。
したがって、フジメディアHD自体が非常に大きな赤字転落となることはあまり考えられないでしょう。
また、それ以上に財務状況が盤石だということもあります。
フジメディアHDの財務面を見ていくと、現預金や売掛金といった資金性の高い資産が1800億円もあり、さらに有価証券は1093億円、投資有価証券は4239億円と、5300億円以上の有価証券を保有しています。
また有力な取引先や顧客と株式の持ち合いをしており、「東映アニメーション」や「ヤクルト」、「東宝」や「リクルート」、「電通」といった企業の株式を数百億円単位で保有しています。
さらに、建物が1832億円、土地は3462億円など、計5300億円ほどの不動産も保有しています。
この不動産に関しては、賃貸等不動産では含み益が約700億円ほどあり、時価ベースではさらに多額の不動産を保有しています。
賃貸以外に活用している自社ビルなどもありますので、そういった不動産の含み益も考えると、時価ベースではさらに多額の不動産を保有していると考えられます。
つまり、フジメディアHDは資金性の高い資産が1800億円、有価証券が5300億円、不動産も時価ベースでは6000億円以上保有しており、こういった資産だけでも1兆3000億円以上あると考えられます。
もちろん、その他にも棚卸資産が790億円など価値のある多額の資産があります。
その一方で、負債は全て合わせても6000億円ほどしかありません。
現預金や有価証券、不動産だけでも1兆3000億円以上の資産を持っている一方で負債は6000億円、単純な差し引きで7000億円以上となります。
フジテレビの業績がしばらく悪化したとしても、会社が傾く事は考えられないような圧倒的な財務力を持っていることがわかると思います。
フジテレビがある程度大きな赤字を出したとしても、フジメディアHD自体が傾くようなことはないでしょう。
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