公開日 2025年02月08日
こんにちは
今年、2025年にも、さまざまな不動産にかかわる法改正が実施済み、または予定されています。
今回は、宅建業法ならびに建築基準法における改正点を解説します。
宅建業法の改正
宅建業法の中では、11の改正点を解説します。
いずれも覚えておきたい事項ではありますが、特に、(5)と(9)と(11)は最重要ポイントになります。ぜひチェックしてください。
(1)宅建業の免許申請書の改正
(2)宅建業者名簿の記載事項の改正
(3)宅地建物取引業者名簿等の閲覧
(4)従業者名簿の記載事項
(5)事務所に設置する標識の記載事項
(6)都道府県知事への免許等に関する情報の提供
(7)専任と取引士の専任性
(8)欠格事由に該当することとなった場合における届出
(9)レインズの機能強化
(10)報酬額の掲示
(11)低廉な空き家等の報酬額の計算
ひとつずつ、どのような内容なのか見ていきましょう。
(1)宅建業の免許申請書の改正
免許申請を定めた宅建業法4条及び同法施行規則1条の2の一部が改正されました。法律に記載されていたものが規則の記載に変更になる等の細かな改正です。
実質的には、申請書に関する「その他国土交通省令で定める書面」の中に、「法第三条第一項の免許を受けようとする者(法人である場合においてはその役員)及び令第二条の二で定める使用人の氏名、住所並びに電話番号その他の連絡先を記載した書面」が追加されたことが改正点です。
(2)宅建業者名簿の記載事項の改正
宅建業者が免許を受けた後に、免許権者が保管する宅建業者名簿の記載事項が変わりました(宅建業法8条及び同法施行規則5条)。
業者名簿の閲覧がデジタル化される場合、紙媒体で提出される書類をすべて電子化(PDF形式等)する必要があり、都道府県の事務負担が大きいことや、氏名や住所など個人情報が含まれるものがあり、プライバシー保護の観点から問題があったことが改正の理由です。
変更点は、宅建業者の事務所ごと5人に1人以上設置しなければならない専任の宅地建物取引士の氏名を名簿に記載する必要がなくなりました 。
(3)宅地建物取引業者名簿等の閲覧
国土交通大臣または都道府県知事は、宅建業者名簿等について、誰しもが閲覧できる状況にする必要があります(宅建業法10条)。改正前は、宅建業者名簿だけでなく、免許申請に係る書類と変更の届出に係る書類のすべてが、閲覧の対象となっていました。
しかし、閲覧がデジタル化される場合、紙媒体で提出される書類については、全て電子化(PDF形式等)する必要があり、都道府県の事務負担が大きくなるばかりでなく、その書類の中には氏名や住所など個人情報が含まれるものもあり、プライバシー保護の観点からも今回の改正が行われました。
改正後は、以下の事項について、閲覧の対象から外れました。
・欠格要件に該当しないことの誓約書面
・事務所の写真
・役員等の住所
・専任の宅地建物取引士の氏名と住所 など
(4)従業者名簿の記載事項
宅建業者は、その事務所ごとに、従業者の氏名、従業者証明書の番号、主たる職務内容、宅地建物取引士であるか否かの別、当該事務所の従業者となった年月日、当該事務所の従業者でなくなったときはその年月日を記載した従業者名簿を備えなければなりません(宅建業法48条3項、同法施行規則17条の2)。
改正前は、従業者の生年月日と住所がありましたが、改正により削除されました。こちらも、プライバシー保護の要請によるものです。
(5)事務所に設置する標識の記載事項【重要】
事務所に備える標識(業者票)には、専任の宅地建物取引士の氏名を記載しなければなりませんでした(宅建業法50条)。大きな会社では、小さな字で名前を連ね、まるで相撲の番付表さながらでした。
改正により、氏名を書く必要はなく、その人数だけを記載すればよくなりました。
なお、事務所以外(案内所等)で専任の宅地建物取引士を設置すべき場所の標識には、専任の宅地建物取引士を記載することすら必要なくなりました。
この点は、超頻出分野ですので、宅建試験では最重要暗記事項となります。
なお、宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(以下、ガイドラインといいます)も以下の規定が新設されました。
第50条第1項関係
第50条第1項関係 1 専任の宅地建物取引士の数の記載方法について
専任の宅地建物取引士の数の記載方法について 事務所に掲示する宅地建物取引業者票の記載事項のうち「この事務所に置かれている専任の宅地建物取引士の数」欄の「宅地建物取引業に従事する者の数」については、当該事務所に置かれている専任の宅地建物取引士の数について変更があった場合のみ変更することとし、当該変更に伴い提出する専任の宅地建物取引士設置証明書に記載された「宅地建物取引業に従事する者の数」と同じ数を記載することとする。
さらに、近年のデジタル化に応じた改正点として、標識を電光掲示板にすることができるようになりました。ガイドラインに以下の規定が追加されました。
第50条第1項関係
デジタルサイネージを活用した標識の掲示について
書面ではなく、デジタルサイネージ等ICT機器を活用した掲示についても、以下の要件を満たす場合には、書面による掲示と同等の役割を果たしていると考えられ、法第50条第1項の規定による標識(宅地建物取引業者票)の掲示義務を果たすものと考えて差し支えない。なお、標識の様式については、規則別記様式第9号から別記様式第11号の3まで及び別記様式第27号から別記様式第30号までによることに留意する必要がある。
(1) 宅地建物取引業者の営業時間内その他の公衆が必要なときに標識を確認できるものであること。
(2) 当該デジタルサイネージ等において標識を確認することができる旨の表示が常時わかりやすい形でなされていること(画面の内外は問わない。)。
(3) 規則別記様式第11号及び別記様式第30号については、宅地建物取引業者の営業時間内のみならず営業時間外においても公衆が標識を確認することができるよう、人感センサーや画面に触れること等により画面表示ができるものであること。なお、標識を設置する場所が住宅地に位置する等周辺環境への配慮が必要であり、営業時間外のうち一定の時間画面の消灯が必要な場合においては、デジタルサイネージ等の周囲にインターネット上で標識の閲覧が可能である旨を掲示することを条件に、営業時間外は、当該デジタルサイネージ等による掲示に代わり、インターネット上で標識を閲覧する措置を講じることができることとする。
(6)都道府県知事への免許等に関する情報の提供
国土交通大臣に対する、宅建業の免許申請、変更の届出と廃業の届出の申請は、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事を経由し、案内所等を設置することによる届出書はその届出に係る業務を行う場所の所在地を管轄する都道府県知事を経由しなければならない、という規定がありました(宅建業法78条の3)。
この規定は削除され、上記の場合でも国土交通大臣に直接申請することになりました。
ネット申請が当たり前の時代において、そもそも時代錯誤な規定でした。
ただ、その代わり、次のような規定が追加されました(新法78条の3)。
国土交通大臣は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める事項及び当該各号に掲げる場合において、免許申請書又は変更の届出書に添付された特定書類の写しを、遅滞なく、宅地建物取引業者の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事に提供しなければならない。
一 免許をした場合
二 変更の届出書を受理した場合
また、国土交通大臣は、廃業等の届出を受理したときは、遅滞なく、それを引き継いだ者の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事にその旨を通知しなければならない。
(7)専任と取引士の専任性
事務所に一定数置かなければならない専任の取引士に関して、細かな改正がありました(宅建業法31条の3)。
専任の取引士は、原則として、その事務所の宅建業の業務に従事する状態をいいますが、
・その事務所が宅建業以外の業種を兼業している場合等で、その事務所において一時的に宅建業の業務が行われていない間に他の業種に係る業務に従事すること
・同様に、当該事務所において一時的に宅地建物取引業の業務が行われていない間に、ITの活用等により、同一の宅建業者の他の事務所に係る宅建業の業務に従事すること
は例外となります。ただし、このとき、当該他の事務所における専任の取引士を兼ねることができるわけではないことに留意しなければなりません(ガイドラインの一部改正)。
さらに、宅建業を営む事務所における専任の取引士が、賃貸住宅管理業法12条1項の規定により選任される業務管理者を兼務している場合は、
・当該業務管理者としての賃貸住宅管理業に係る業務に従事すること
・宅地建物取引業を営む事務所が、空き家対策等の媒介業務以外の不動産取引に関連する業務を行う場合において、当該事務所における専任の取引士が、当該業務に従事すること
は例外として許されます。
なお、「空き家対策等の媒介業務以外の不動産取引に関連する業務」についてはガイドラインで具体的な内容が追加されました(太字部分が追加)。以下、引用します。
第34条の2関係
11 媒介業務以外の不動産取引に関連する業務との関係について
宅地建物取引業者に対しては、媒介業務のみならず、金融機関、司法書士、土壌汚染調査機関等の不動産取引に関連する他の多くの専門家と協働する中で、消費者の意向を踏まえながら、不動産取引について全体的な流れを分かりやすく説明し、適切な助言を行い、総合的に調整する役割が期待されている。また、宅地建物取引業者自らも積極的に媒介業務以外の不動産取引に関連する業務(以下「媒介以外の関連業務」という。)の提供に努めることが期待されている。
特に、近年では空き家・空き室等の増加が大きな課題となっているところであり、不動産取引や不動産の利活用の専門家である宅地建物取引業者や宅地建物取引士に対しては、その有するノウハウを活かして、空き家・空き室等の所有者等のニーズに対応し、媒介業務にとどまらない役割を発揮することが強く期待されている。
具体的には、次のような業務について、宅地建物取引業者自らが積極的に取り組むことが考えられる。
・空き家、空き室等の利活用等に係る課題の整理や、空き家・空き室等の相続等の権利関係への助言、空き家・空き室等の利活用の方針の提案など、媒介業務に先立って、又は媒介業務とは別に、空き家・空き室等の所有者等に対して行われる助言、総合調整等の業務
・空き家、空き室等の遠隔地に居住していること等により自ら適切に空き家・空き室等の管理を行うことが困難である等のニーズに対応して、所有者等から受託して行う空き家・空き室等の管理業務
そのうえで、宅地建物取引業者自らが媒介以外の関連業務を行う場合には、上記のような業務又はいわゆる不動産コンサルティング業務を行う場合を含め、媒介業務との区分を明確化するため、あらかじめ契約内容を十分に説明して依頼者の理解を得た上で、媒介契約とは別に、業務内容、報酬額等を明らかにした書面等により契約を締結し、成果物がある場合には書面で交付等すること。
なお、これらの媒介以外の関連業務について、媒介契約との区分を明確にし、媒介契約とは別に、書面等により締結した契約に基づいて報酬を受けることは、「法第46条第1項関係6」に定めるとおり、法第46条第2項の規定による報酬の制限に違反するものではない。
(8)欠格事由に該当することとなった場合における届出
取引士が欠格事由に該当しで職務を遂行できなくなった場合は、登録先の都道府県知事にその旨の届出が必要です(宅建業法21条)。
この点に関して、宅建業者は、宅建業の適正な運営を確保するため、その従業者である取引士に対し、いわゆる欠格事由(宅建業法18条第1項第1号から第8号まで及び第12号)に該当することとなった場合における、同法21条2号及び3号の規定による届出義務の履行を徹底するよう指導しなければならなくなりました。