公開日 2025年05月12日
世界株、楽観モードは本物か 「200日線」超えの攻防へ
世界の株式相場が急速に持ち直している。米英や米中など関税を巡る2国間の貿易交渉が進展し、世界の株式相場の8割程度が「相互関税」の発表前の水準を先週上回った。投資家心理は悲観から楽観へと一気に切り返したが、急ピッチな株価上昇には戸惑う声もある。 トランプ関税の「ディール」が本格始動した。8日にはトップバッターの英国と貿易協定を妥結した。米国は英国車への関税を軽減する「輸入枠」を設けることになり、自動車への関税率は27.5%から10%にまで引き下げられた。 最も激しく対立する中国とも、スイスで現地時間10日に初の閣僚級協議を開いた。トランプ大統領は自身のSNSで「多くのことを議論し、多くの合意に至った」と誇示した。同氏は現状145%の対中追加関税を80%に下げられると指摘している。 ピクテ・ジャパンの田中純平投資戦略部長は「関税交渉が妥結する可能性があるとわかり、市場はいったん落ち着きを取り戻した。経済指標などで実際の米経済への影響はまだ見えておらず、株価の上昇は投資家心理の改善によるものだ」と指摘する。 新たなリスク材料として急浮上したインドとパキスタンの核戦争シナリオも、米国の仲介によって10日にはいったん停戦で合意し、小康状態に入った。 対米交渉への過度な警戒感と地政学リスクの後退で、投資家心理は改善している。それを映すのが米CNN算出の「恐怖と強欲指数」だ。株式や債券の値動き、オプション取引の動向など7項目から市場のリスク許容度を0〜100で指数化し、5段階評価する。1カ月前の4月8日時点では3と「極度の恐怖(extreme fear)」水準でも底値圏にあったが、先週末には62と「貪欲(greed)」水準と今年最も高い水準に持ち直した。 投資家の心理の改善に伴い、4月上旬から進んできた「米国売り」が足元で巻き戻されている。ドルの主要通貨に対する総合的な強さを示すドル指数は8日、約1カ月ぶりに100台を回復。逆に安全資産としてマネーが流れ込んだ金はニューヨーク先物(中心限月)が同日、前日比3%近く下げる場面があった。 心理の改善は世界的な株高を促している。代表的な世界株指数MSCI ACWI(現地通貨建て、配当なし)は9日を1014で終え、「相互関税」が織り込まれる直前の4月2日終値(1012)を2日連続で上回った。ACWI算出の土台となる先進国・新興国の計47の国・地域別指数をみると、5〜9日の週は8割相当の37の国・地域が超えた。 米S&P500種株価指数は相互関税ショック後の安値から1カ月ほどで14%上昇。戻りがより速い日経平均株価は20%上げ、定義上は「強気相場」入りした。急ピッチな株価上昇をもたらしたのは、相場のトレンドや経済環境の変化を読んで先物を機動的に売買するCTAやマクロ系ヘッジファンドといった短期筋が主体との見方も多い。 この先の動向を占ううえで重要なのが、株式の長期的に見た買い付けコストを示す「200日移動平均線」だ。過去200営業日(およそ1年間)の終値平均値をチャート上でつないでつくる。日米の株価指数はともに200日線を下回る水準で推移していたが、日経平均では先週末時点で3万7938円と実勢値との差は1%強、S&P500も5748と2%弱まで接近した。 これを抜け切れれば相場は本格的な回復への弾みが期待される一方で、「上値抵抗線として意識され、抜けられなければ二番底を探る展開もありうる」(みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリスト)との声もある。 一方で3万8000円台の累積売買代金は価格帯別で最も多く、戻り待ちの売りが出やすいとの指摘もある。今週は売り手と買い手との攻防が激しくなる可能性がある。 米国では消費者物価指数(CPI、13日)や小売売上高(15日、いずれも4月分)という関税の米経済への影響を判断する上で重要な経済指標の発表が相次ぐ。ホンダやマツダなど自動車大手、ソニーグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループなど3メガバンクといった主要企業の決算発表も相次ぎ、米関税政策を踏まえてどのような見通しが立てられるかに注目が集まる。 日本の1〜3月期の国内総生産(GDP)速報値の発表が16日に控える。関税発動前の「過去の数字」とはいえ、マイナス成長を予想するエコノミストも多い。トランプ関税が景気や企業業績に与える影響を慎重に見極める重要な1週間になる
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