公開日 2025年06月16日
日本製鉄、18日にUSスチール買収完了へ 1年半の交渉劇に終止符
日本製鉄は米鉄鋼大手USスチールの買収手続きを18日(米国時間)に完了する見通しだ。買収承認に必要な「国家安全保障協定」を米政府と14日に結んだことを受けて、141億ドル(約2兆円)を投じてUSスチール株すべてを取得する。政治問題化した買収劇は日鉄が一貫して求め続けたUSスチールの完全子会社化で決着する。
トランプ米大統領は米国時間13日(日本時間14日)に大統領令を発表し、日鉄によるUSスチール買収計画についてバイデン前大統領が出していた中止命令を修正した。全面的に買収を阻止するとしていた内容を変え、取引を進めるには、安全保障上の懸念を払拭する国家安全保障協定を米政府が提示した案で結ぶことが条件になるとした。

大統領令が出された直後、日鉄は米政府との間で国家安全保障協定を結び、買収の承認を得た。日鉄とUSスチールが結んでいる合併契約の中では「買収の(最終的な手続きである)クロージング日は関係当局の許認可を取得したのち、3営業日後になる」となっている。買収金額の払い込みを含め、18日に全手続きが完了する見通し。
日鉄はUSスチールの「黄金株(拒否権付き種類株式)」を米政府に対し発行することも決めた。黄金株は1株でも経営の重要事項について拒否権を有する種類株式となる。
米政府に発行する黄金株に議決権はなく、日鉄が100%子会社とする方針は変わらない。黄金株は無償で発行する。米政府は国家安全保障協定と黄金株の2つで、USスチールに一定の影響力を持つことを担保する。日鉄は安全保障協定の概要については「可能となった時点で速やかに公表する」としている。
一方、トランプ氏は大統領令のなかで、協定違反があった事態などを想定した一文も盛り込んだ。安全保障を守るために必要だと判断した場合に、日鉄やUSスチールに対し「さらなる命令を出す権限を留保する」と記した。
買収計画の概要も一部明らかになった。買収に反対してきたトランプ氏を翻意させるため、日鉄は巨額の投資計画を提示した。2028年までに総額で約110億ドルをUSスチールに投資する。老朽化した生産設備の改修や製鉄所の新設などに充てるとみられる。
武藤容治経済産業相は14日、「今回の米国政府の決定を歓迎する」とのコメントを発表。「この投資が日米の鉄鋼産業が新たなイノベーションを生み出す力を強化し、日米間の緊密なパートナーシップの強化につながると考えている」とした。
日鉄は23年12月にUSスチールを買収する計画を発表した。だが、24年の米大統領選が絡んだこともあり、政治問題化した。バイデン氏は25年1月、大統領退任前に買収計画の中止命令を出した。日鉄側は中止命令を出したバイデン氏と米政権を提訴するなどし混迷が続いた。
トランプ政権に代わり、省庁横断組織の対米外国投資委員会(CFIUS)が異例の再審査を開始したことで米政府との交渉が再び動き始めた。1年半にわたる買収劇はようやく決着する見通しとなった。
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