「築古でも良質」戸建て流通促進  新築高騰、選択肢に

公開日 2025年09月03日

 空き家になりつつある築古戸建でも良質のものはたくさんあります

「築古でも良質」戸建て流通促進 耐震補強や断熱を評価
国交省がモデル事業 新築高騰、選択肢に

 

国交省は管理の行き届いた中古戸建てが適正な価格で流通する環境を整える

国土交通省は管理の行き届いた「築古」戸建ての流通を促す。2026年度から始めるモデル事業で、耐震・断熱性能を高めるリフォームや住宅の寿命を延ばすメンテナンスを価格に適正に反映できるようにする。マンションを中心とした新築物件の高騰を踏まえ、手が届きやすい良質な中古住宅が市場に出回るようにする。

26年度予算の概算要求に関連経費として3億7400万円を計上した。26年度からの住生活基本計画に中古住宅の性能や利用価値が市場で評価されやすいシステムづくりを盛り込む。25年度内に計画を閣議決定する。

モデル事業は定期点検や計画的な設備更新、リフォームなどの実績を売却時の査定に反映する。事業者や団体を公募し、成果を業界に広げる想定だ。

古い基準で建てられた住宅を最新の水準に近づける耐震補強や外壁・窓の断熱などの工事を適切に評価する。屋根の雨漏り対策やシロアリ予防など住宅の寿命を延ばす対策も加味する。

中古市場で、木造戸建ての価値は土地を除くと築20~25年でほぼゼロになる。木造住宅の税法上の耐用年数は22年とされ、維持管理の努力が評価されにくい。国交省は14年にリフォームで価値が回復する評価手法の指針をつくったものの定着しなかった。

大手ハウスメーカー10社は住宅を独自基準で査定し、売買を仲介する「スムストック」という仕組みを08年度に始めた。耐震性などを評価し、鉄骨など強固な構造部分の償却期間を50年とするのが特徴で、特許も持つ。23年度までに1.9万件成約した。

国交省はこうした仕組みも参考にモデル事業の内容を検討する。維持管理やリフォームのデータを登録する住宅履歴情報といった既存の仕組みの活用促進も念頭に置く。

都市部のマンションを中心に新築物件が高騰している。国交省の不動産価格指数(2010年平均=100)は足元でマンションの216.4に対し、戸建て住宅は117.3と上がり方に差がある。

日本の住宅市場は新築志向が強いとされる。業界団体の22年の調査では中古に「抵抗がない」は13.7%、「きれいであれば抵抗はない」は35.8%だった。「価格と状態のバランスで判断する」も32.3%だった。十分な性能があれば選択肢に入る。

 

リフォームや維持管理を適切に評価する環境が整えば、所有者が物件を売る決断の後押しにもなる。国交省の推計によると、首都圏1都3県で85歳以上の人が暮らす戸建ては30年代前半までに23年時点の2.5倍に増える。

24年の戸建ての年間流通のうち中古は17万戸で全体の33.3%だった。10年前の13.9万戸、25.3%から徐々に伸びている。新築にはまだ及ばない。

不動産価格の高騰への不満は高まっている。7月の参院選では国民民主党が外国人による居住目的でない不動産取得に空室税を課すとの公約を掲げた。住宅の適正価格での流通が国会の論戦テーマになる可能性はある。

城東不動産販売株式会社

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