公開日 2026年03月23日
後編です 2026年のキーワードとしては2025に次ぐ賃料の上昇
加えて 世代交代により空き家となる既存住宅の再利用と言えるようです。
建築費高騰と新規供給の絞り込み
このところ建築着工の動きは低調です。2025年1月から11月までの新設住宅着工戸数は67.9万戸にとどまりました。15年ぶりの低水準であった2024年同期の実績を7.0%下回っているのみならず、直近のボトムであった2009年同期の実績にも達していません。このままでは2025年の新設住宅着工戸数は約60年ぶりの少なさとなりそうです。住宅を含む建築物全体の着工床面積についても、2024年は59年ぶりの低さとなる1.03億㎡でした。2025年は前年をさらに下回っており、もし通年での建築物着工床面積が1億㎡を割り込むことになれば1963年以来の出来事となります。
着工を鈍らせている大きな要因が建築費の高騰・高止まりです。新規の開発計画は、増大したコストに見合うものに厳選して取り組まざるを得ない状況にあり、注目度の高い再開発案件が計画の見直し、あるいは中止を迫られるような事例が複数報じられています。
その一方で、新規供給の少なさは不動産の需給を引き締める方向に作用しますので、既存物件の賃料や価格の下支えに寄与するものと期待されます。
一部の建設資材価格にはピークアウトの様相が見られるものの、建築費全体を押し下げるには至っていません。もとより、建設業における人手不足が早晩解消される見込みはなく、建設業界における労働環境向上に向けた取り組みも相まって、労務費の上昇傾向に歯止めがかかる可能性は乏しそうです。2026年も引き続き、不動産市場は高止まりする建築費を前提とせざるを得ず、したがって着工の動きも鈍い一年となることでしょう。
選ばれ続ける不動産の形成
先に「新規供給の少なさは不動産の需給を引き締める方向に作用する」と記載しましたが、すべての物件がその恩恵を受けるわけではない点に注意が必要です。「令和5年住宅・土地統計調査」によると、2023年10月1日時点で日本に存在する総住宅数約6,500万戸のうち約900万戸が空き家となっています。経済学の教科書によれば、財やサービスの市場においては需要と供給が一致するように価格が調整される、と説明されます。しかし不動産市場においては、賃料や価格の調整によって空き家が解消に向かうことはありません。需要と合致する物件については、相応の価格や賃料で買い手や借り手を見つけることができる一方、需要と合致しない物件が空き家となるにすぎません。
折しも2026年3月には新しい「住生活基本計画」が策定されることとなっており、国土交通省は2025年11月にその策定に向けた中間とりまとめを公表しました。この中間とりまとめによると、検討の方向性として11の項目が挙げられており、そのひとつが「多世代にわたり活用される住宅ストックの形成」です。そこでは耐震性、省エネ性能、バリアフリー性能を例として、住宅ストックの性能向上を一層推進すべきことが謳(うた)われています。
上述のとおり、2026年も建築費の高騰を背景に新規の供給は絞り込まれる可能性が高そうです。新しい住生活基本計画が策定されるタイミングに重なることも相まって、今年はこれまで以上に既存住宅の活用が話題となるはずです。そこで議論の焦点となるのはまさに「活用される」という視点です。価格や賃料が上昇するもとでも需要の受け皿となって市場での競争力を保てるか否か、個々の物件の真価がますます問われる一年となることでしょう。
総括:2026年の不動産市場の見通し
2025年の不動産市場は堅調に推移しました。賃料や価格が上昇したものの、それは不動産に対する実需に裏打ちされたものであり、持続可能性に欠くような市況の過熱が生じているわけではありません。建築費高騰を背景とした新規供給の減退は不動産の需給バランスを引き締める方向に作用すると期待されますし、先行きの不動産市況を取り巻く経済環境の見通しもおおむね良好です。したがって、2026年も不動産の価格や賃料の上昇が継続することでしょう。そのなかで「既存建物の活用」は、今年の不動産市場を語る上での重要なキーワードとなりそうです。マクロ経済面でのリスク要因としては、雇用情勢の局面変化や資本財・建設財の価格高騰を遠因とする不動産需要の減退のほか、財政再建への懸念を悪材料とした金融環境の変化などが意識されます。
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