なぜ富裕層の資産が流入?富裕層の資産それでも香港へ480兆円流入

公開日 2026年07月13日

富裕層の資産それでも香港へ480兆円流入、中国マネーが外資誘う

※なぜ富裕層の資産が流入するのでしょうか 香港と中国本土の関係が微妙な現況に置いて
国家安全の見地から中国が監視し越境投資規制してくるのでしょうか?

香港への域外富裕層らの資金流入額が2025年に世界首位に浮上した。中国マネーがなだれ込み、スイスを初めて上回った。20年の香港国家安全維持法(国安法)施行による地位低下論を覆し、国際金融の重心が香港へ向かう。

香港の新都心、西九竜。中国本土と結ぶ高速鉄道の終着駅の近くで総額1兆円規模の複合開発が26年内の完成へ向け最終段階だ。スイス金融大手UBSは全4棟のうち1棟を借り上げ、香港業務の拡大の象徴と位置づける。

仏運用会社アーディアンが進出、米高速取引業者ジェーン・ストリートは大幅拡張――。香港展開に前のめりな欧米勢の目当ては香港に大量流入する中国本土マネーだ。

資産管理残高、スイス抜き初の首位

米ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)によると、域外富裕層らの資産管理残高で香港は25年に前年比11%増の約2兆9500億ドル(約480兆円)とスイスを抜いた。このうち59%を占める本土マネーが30年には68%に増えるとみる。

「アジアは前例のない世代交代期に入った」。BCGは経済成長の恩恵を次世代に引き継ぐ富裕層の動きがマネーの奔流を生み出していると指摘する。本土から流入する富が香港を押し上げる。

25年11月にオフィスを開いた米投資会社アダムズ・ストリート・パートナーズの投資責任者、ジェフリー・ディール氏は「香港は世界のマネーの流れと強く結びついている。富裕層など投資家との距離を縮める」と語る。

香港では企業オーナーや富裕層の資産管理などを担うファミリーオフィスの数が急増している。デロイト中国によると、25年に3384社と2年前と比べ25%増えた。

不動産不況が長引きデフレ圧力が強い中国は低金利によるカネ余りが続く。キャピタルゲイン(投資差益)への課税がないなど優遇税制を武器に運用需要をひき付ける。

本土からの直接流入だけではない。日本総合研究所の野木森稔上席主任研究員は「米欧や中東にあった本土マネーが中東情勢の緊迫や米ドル覇権の揺らぎを背景に香港に向かっている」と話す。

香港は海外マネーの本土への玄関口でもある。香港株式市場の時価総額の約8割は本土企業だ。投資規制によって海外投資家による本土株投資は大半が香港を経由する恩恵がある。人工知能(AI)やロボット分野での中国勢台頭も追い風だ。米財務省によると、米国投資家による中国本土・香港への証券投資残高は4月に4991億ドル(約80兆円)と20年以降で最高となった。域外企業も集まる。香港拠点数をみると本土企業は新型コロナウイルス禍後の23年から913拠点増、日米英もそれぞれ100拠点超増えた。業種別では金融が4割増とけん引する。

 

海外企業の警戒感薄れる

国安法でデモや民主派は消えたが、海外企業の警戒感は薄れた。在香港米国商工会議所による26年発表の会員企業調査では74%が「国安法の悪影響はない」と答えた。香港の法の支配に疑念があるとする回答は6%と22年の48%から大きく減った。

 

上海の金融開放が進めば香港が役割を失う「香港不要論」に反し、資本流出を警戒する中国当局の慎重姿勢が香港の地位を支え続けてきた。本土マネー流入は本土外に資産を置きたい人々の願いの大きさを映す。香港の「復活」は中国の弱さの裏返しでもある。

今後の命運は習近平(シー・ジンピン)指導部のさじ加減一つで決まる。1日には越境投資規制を強化した。「金融都市の機能を維持しつつ資金の流れを監視する狙いだ」とみる。

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