4回の漏水で1400万円賠償請求、最高裁が「管理組合の責任」と初判断した意義1

公開日 2026年09月29日

マンションの外壁や床スラブといった共用部分に不具合が生じ、そこから雨水が漏れ出して被害が発生──このとき、被害を受けた区分所有者(オーナー)は誰に賠償を請求すればよいのでしょうか?

共用部分は区分所有者全員の共有ですから、理屈上は「区分所有者全員」を訴えることになりますが、数十戸もあるようなマンションで全員相手というのは現実的ではありません。

では、共用部分を管理している「管理組合」に請求できるのか? この点は、学説・裁判例が分かれていた論点でした。

この問題に、令和8年1月22日、最高裁判所が1つの答えを示しました。特段の事情がない限り、管理組合は共用部分の「占有者」に当たる=管理組合に損害賠償を請求できる、としたのです。

これは、マンション実務に大きな影響を与える判決です。

今回は、事案の経緯からひもといて、不動産オーナーが本判決をどう受け止めるべきか、弁護士の視点から整理していきます。

4回の漏水、約1400万円の損害賠償請求

舞台となったのは、東京都練馬区にある1990年築、総戸数27戸の分譲マンションです。2階の203号室に居住する区分所有者Xは、2013年10月から2015年3月までの約1年5カ月の間に、寝室の天井から4回にわたって漏水被害を受けました。

管理組合は繰り返し業者を手配し、真上にある302号室のバルコニーの給湯管の壁貫通部を補修したり、サッシ周りのシーリングを打ち替えたりしましたが、漏水は止まりませんでした。

最終的に、散水試験の結果、外壁のコンクリート躯体に生じた隙間・亀裂から雨水が浸入し、3階の床下スラブ(2階天井スラブ)の亀裂を通って203号室に漏れ出していたことが判明しました。

 

外壁の躯体部分も床スラブも、管理規約上「主体構造部」として共用部分に位置づけられています。つまり本件は、専有部分ではなく共用部分の瑕疵による漏水事故だったわけです。

Xは、上階302号室の区分所有者Yと、マンションの管理組合を相手に、203号室の天井補修費用、資産価値の下落分、寝室が使えなかった期間の損害、慰謝料などとして約1400万円の損害賠償を求めて提訴しました。

その根拠とされたのは、主に民法717条1項の「工作物責任」(建物や設備の欠陥で他人に損害が生じたとき、まず占有者が、次に所有者が賠償責任を負うというルール)です。

城東不動産販売株式会社

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