公開日 2026年10月01日
占有者は誰? 裁判所の判断も分かれる
今回のポイントは、民法717条1項が第一次的な責任の主体を「占有者」としていることです。マンション共用部分の「占有者」とは、区分所有者全員か、管理組合か、それとも上階の所有者なのでしょうか。
この点が、一審(地裁)から最高裁まで、最大の争点となりました。
最高裁は「管理組合は占有者」と判断
これに対し最高裁は、高裁判決のうち管理組合に対する損害賠償請求に関する部分を破棄し、差し戻しました。判決の理由は次の3点です。
(1)民法717条の趣旨
最高裁は、前提として、民法717条(工作物責任)の趣旨について、危険な状態の工作物を管理して、損害の発生を防ぐべき立場にある人に責任を負わせる規定である、と示しました。
(2)区分所有法の構造
区分所有法によれば、区分所有者は全員でマンションの管理を行う団体(管理組合)を構成し、共用部分の管理は集会の決議で決めることになっています(3条前段および18条1項)。
これらの規定を踏まえると、共用部分は基本的に、区分所有者の団体(管理組合)が管理して安全性を確保していくことが想定されている、と最高裁は解釈しました。
つまり管理組合は、特段の事情がない限り、共用部分を管理してその瑕疵による損害の発生を防ぐ立場にある、と結論づけたのです。
(3)費用負担の実態
管理組合は、通常、区分所有者から持分に応じて共用部分の管理費用を集めています。
共用部分の瑕疵で損害が生じた場合は、この管理組合の財産から賠償するのが、区分所有者の通常の意思に沿うと同時に、被害を受けた人の救済にもつながる、と最高裁は判断しました。
以上から、管理組合は、特段の事情がない限り、共用部分の「占有者」に当たる、と結論づけたのです。本件でも特段の事情はうかがわれないとして、損害額などをさらに審理させるため、東京高裁に差し戻しました。
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