公開日 2026年10月05日
最高裁判決を経て 仕入れ業者側はどのような対応が必要でしょうか?
ここからは、仕入れ業者が今回の判決をどう受け止めるべきか、整理していきます。
■被害者側は直接の賠償請求が可能に
共用部分の瑕疵による漏水被害を受けた区分所有者は、管理組合を相手に民法717条に基づく損害賠償請求ができることが、最高裁レベルで確認されました。
管理組合には管理費・修繕積立金という賠償に充てられる財産があり、多くは賠償責任保険にも加入しています。
区分所有者全員を訴えるという非現実的な手段を取らなくても、賠償を受ける道筋が明確になった意味は大きいでしょう。
ただし、民法717条の責任はあくまで「共用部分に瑕疵があること」が前提です。専有部分の配管や設備が原因の漏水であれば、原因住戸の所有者に対する請求が基本となります。
実際、本件でも一審・控訴審を通じて「漏水の原因はどこにあるか」が徹底的に争われ、複数回の散水試験の結果がものをいいました。
漏水が起きたら、原因究明の調査記録と写真をきちんと残しておくことが、その後の請求の成否を左右します。
■管理組合側は組合財産で賠償
管理組合の側から見れば、今回の判決は共用部分の瑕疵について「組合がまず賠償責任を負う」ことを意味します。
修繕積立金は本来、計画修繕のために積み立てているものですが、賠償に充てざるを得ない場面が出てきます。
本件のように資産価値の下落分まで含めると、1件の漏水事故で1000万円近い賠償が認められうることは、認識しておく必要があるでしょう。
対策としてまず確認したいのは、賠償責任保険の加入状況と補償内容です。自分が所有する区分マンションの管理組合がどのような保険に入っているのか、把握している人は意外と少ないのではないでしょうか。
総会資料や管理会社への問い合わせで確認できますので、この機会に見てみることをおすすめします。
そして根本的には、外壁・防水・躯体の劣化を放置しないことです。民法717条の「保存の瑕疵」は、亀裂を放置していること自体から認められます。本件でも、地裁・高裁ともに「隙間ないし亀裂を放置している以上、保存の瑕疵がある」と判断しています。
長期修繕計画に沿ってタイミングよく修繕することは、資産価値の維持だけでなく、賠償リスクへの備えという意味も持つことになります。
■仕入側は財務と保険を確認
区分マンションを購入する場合、これまでも修繕積立金の残高や長期修繕計画の確認は基本とされてきました。
今回の判決を踏まえると、これに加えて「管理組合が賠償責任を負ったときに耐えられる財務状況か」「保険でカバーされているか」という視点も重要になります。
築年数が経過し、外壁のひび割れや漏水歴がある物件では、管理組合が将来的に賠償責任を負うリスク、つまり修繕積立金の取り崩しや一時金徴収のリスクを織り込んで検討すべきでしょう。
賃貸に出している場合、入居者が共用部分の瑕疵で被害を受けたときも、入居者から管理組合への請求が可能になります。
原因が共用部分にあるなら、オーナーとして早めに管理組合との調整に動くことが、トラブルの長期化を防ぐことにつながります。
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